からさわとうげ。山田郡誌に八王子山脈の五條の峠道が書かれています。西から黒石峠姥沢峠、籾山峠、菅塩峠、唐沢峠です。籾山峠は車の走る県道上の峠で何度が歩いたことはありますが、あえて紹介はしません。
月刊上州路の群馬の峠を歩く(須田茂さん)29回に“太田市吉沢から太田市北金井に越える。(中略)北金井側の峠付近に「分木ぼんぎ」の小字名があり、『上野国郡村誌』には「分木山ぶんきやま」の山名の記載がある。地元での聞き取りでは、分木山は不明であったが、分木は唐沢峠のごく近く、北金井と唐沢の境の稜線上にあり、木製の柱木があって、龍の飾りがつけられていたとことである。”と書かれていますが、場所の特定はされていません。
峠の位置については『電撃!激坂調査隊がゆく』の激坂のぼるさんが、唐沢峠の巻き『山田郡誌』にみられる昔の峠道と唐澤峠の場所についてで詳しい考察をされています。唐沢峠はNTTが東高壺の山頂に建設した北金井群馬ネットワークセンターとその周辺の連絡道路上にあったと結論付けられています。すずき@東毛さんも『上州東毛無軌道庵』の再び北金井へ 〜分木山・唐澤峠を目指すで同様の見解を述べられています。

ここで紹介する唐沢峠ならびに唐沢峠越えは上記お二方の見解に疑義を差し挟むものではなく、新唐沢峠ハイキングコースということで。
出発地は新たに整備がされた太田市北金井キャンプ場です。北金井まではこちら。薄汚れていたカマボコ兵舎が真っ赤に塗られ、整地された駐車場には案内板とトイレも設置されました。
電波塔への連絡道路を進み、左にあらわれる踏み跡に入り、浅間山の裏側の尾根を目指します。篠竹の中の道は古い道を整備されたようで、歩きやすい道です。立木に巻かれたテープに従って登ってゆくと東京電力の巡視路に出ます。巡視路は吉沢と北金井を分ける尾根上に作られていて、右に進むと山田郡誌に書かれている集塊岩のある尾根を左に分け電波塔のある東高壺に続いています。左、送電塔の方向に進み、右にあらわれる踏み跡を下ります。展望が開け、国道50号線や渡良瀬川、小俣の山々が望めます。踏み跡は谷底に急降下、沢の源頭で作業道に連結しています。作業道を下ってゆくと左の小高い所にお不動様の小さなお堂に出会います。峠を往還する旅人を見守っていたのでしょうか。横の沢を登ると三段の不動の滝。上毛新聞社発行の群馬の山2.によると3m、7m、7mの三段で、中央の滝は青色の岩肌をしているそうですが、水が無いので、ただの岩壁です。滝の上には小さな石祠がありました。お堂から下ると崩れた作業小屋(土に埋もれたトタン屋根)があらわれ、その先には車止めのチェーンが張られていました。左からとりでん様からの下山路をあわせると、じきに中之峯裏林道完成碑の立つ二叉路に、直進すると県道太田桐生線に出ます。群馬の峠を歩く29回には地元の聞き取りで、北金井から足利市葉鹿の親戚に行く時に唐沢峠を越え渡良瀬川を渡船で渡った書かれていました。
東高壺は群馬の山2.掲載のコース図に従いました。従来の北金井から唐沢峠までの峠道は1973年に作られた鳳凰ゴルフ倶楽部によって湮滅したようです。集塊岩とは火山から噴出した岩片が火山灰によって結合した岩石だそうです。逆コースは林道完成碑の前に駐車可能。悪路です。山の師にご案内いただきました。

2009/8/2(代表幹事代行による補足)
概念図の分木山の位置に訂正があります。 いくつかの訂正の「唐沢峠越え」の項を参照下さい。

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