(かのうけ)ゆどのやま。足利市の湯殿山、三山目の紹介です。足利百名山選定委員会の「足利百名山」に記載されている山ですが、百名山には選定されていません。県道からは春日神社の社叢(鎮守の森)と一体になった可愛らしい姿を見せていますが、薮をかきわけて辿り着いた頂上から先は無惨に切り崩されています。

名草小俣線沿いの叶花集会所の向かいにある春日神社の裏から登ります。駐車地は叶花集会所。江戸時代前期に創建された(社殿による)春日神社は、なかなかの佇まいで、本殿奥の社叢も小さいですが、鬱蒼感があります。神社の境内も下草に半ば覆われて、山行の前途の多難さを思わせます。神社も裏山もほとんど(全く)手入れがされていないようです。
明確な取り付き点と言える場所はないのですが、神社の脇に道の痕のようなものがあり、そこから登りやすそうな斜面を選び登り始めます。明瞭な尾根は湯殿山への一本だけですから、尾根を外さなければ、大丈夫。奇特な方もいるもので、所々にピンクのテープが結んであります。テープは頂上直下まで続いていました。とは言うものの、人類が通過するのは、どうかという場所も何カ所かありますので、尾根を忠実に辿ることはできませんでした。下山は傘と腕力で強引に薮を突破して、テープを辿ることができました。
社叢の続きのような斜面から篠薮に変わる辺りが、登高意欲を減退させますが、そこを過ぎると雑木の薮になり、まあまあ歩けるレベルになります。といっても、踏み跡らしきものはありません。大きな岩が積み重なったピークのような所では、ここがピークかと思わせますが、尾根が採石場に削られた場所が山頂です。木の葉の間から石尊山の削り取られた斜面を間近に見ることができます。
湯殿山というからには、石祠でもあるかと思っていたのですが、人が入った気配はほとんど感じられない山でした(テープを何カ所も結んだ人を除いて)。

足利百名山選定委員会の百名山選定基準は存じ上げませんが、この山が選定されなかったことが妙に納得できる山ではありました。道はありませんが、蛮勇さえあれば登りやすい山です。

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