こんぴらさん。八王子山脈では初の琴平山です。古くからのお宮ではないようです。桐生市史の神社編に籾山の琴平神社として記載があるので引用します。“峠への道の入口、採石場の麓に金比羅の小社がある。あたりには轟々たるブルドーザーの音がこだまし、道にはダンプが地ひびきを立て間断なく往来している。(中略)山神の伝承があったという山は、その半ばは既に崩されて、山頂の辺りをわずかに残すばかり、やがて山そのものが姿を消す日も遠くあるまい。(中略)明治十二年の明細帳には、琴平神社は記していない。二三十の石階を登って達する方一間足らずの小社の中には、朱塗りの小祠が置かれ、金比羅の神札だが下がっているばかり。祠は昭和三十五年改築されたもの、あたりの住民によってささやかに祭りの行事が行なわれているのであろう。”

多少、強引ではありますが、山のような形態を保っているので、あえて金刀比羅山として紹介しました。桐生市史の記述は続きます。“あかあかと、はらわたを裂いて、いたましくそそり立つこのあたりの山々には、大雨による公害が予想されていて、住民のなやみの種であるとか伝えられている。”
桐生市史に書かれた後も八王子山脈は土木工事の砂利に変えられています。あたりが、すっかり切り崩された中、良くここだけ残ったものです。現在のお社は昭和四十七年に奉納されたと社の横に掲げられた額に書かれていました。社の中には、市史に書かれた朱塗りの小祠が祀られています。自然とはいえませんが、このまま残されていくことを願います。

2009/1/13 金比羅山について、桐生みどりさんから情報をいただいた。以下“地元では「ことひら」でなく「こんぴらさま」と呼んでいます。地区では毎年、こんぴらさまの一斉清掃を実施し、主に草木の伐採をしています。持ち回りではなく、同じ人がずっとこんぴらさまの担当です。元旦に地区の人(殆ど全員)が集まり、お参りをするのが恒例です。その後、集会所で新年会をしています。また、ここは籾山地区ではなく、「榎」地区です。”
ありがとうございました。『こんぴらさん』に訂正します。地区に関しても桐生市の1万分の1現形図であたってみて榎地区だとわかっていたのですが、桐生市史の記載をそのまま引用しました。

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