なべあしさわのあたま。桐生市の山の紹介はなんとなんと二月振りです。1000m超のピークを書くのも久し振りです。楚巒山楽会の基準では標高1000mを超える山は高山に分類されるので、落語でいう“つ”離れした山の紹介です。

鳴神山の北にある“峠”椚田(くぬぎった)からの出発です。桐生でもゆびおりの様子の良い峠です。くぬぎったの名前がどうかどうか後の世まで伝わりますよう、この地に200年おわす山神様にお願いしておきます。出だしは植林の中、ゆるい登りですが、林が雑木に変わり、辿り着くピークが子繋山です。展望はありません。山頂には◇形の金属製の道標があり、←座間峠、鳴神山→と書かれています。
子繋山からは、尾根歩きの見本市のような様々な姿の尾根道が楽しめます。岩稜の尾根を下っていくと広々とした鞍部になり、派生している岩尾根に天然記念物のニホンカモシカが立っていました。人間は岩の上を歩けないのを知っているのでしょう。逃げる素振りも見せず、ずっと被写体の役割を果たしてくれました。
しっかりとした踏み跡は概ね尾根を通っていて、迷うことなく鍋足沢の頭まで行き着けました。ただし、一カ所だけ、立木に巻かれた黄色のテープに“N座間峠”と書かれているピークがありました。え、北はどっち。誰もがコンパスや地図をもって山登りすると思ったら大間違いなのですが。いえいえ、けして、いばっているわけでは。ただテープだけ巻いておいて頂けたらなぁ、と。ここだけ、立木の後ろの尾根を歩いて確かめました。道はやわやわで、縦走路の踏み跡とは程遠いものだったので、しっかりとした踏み跡のほうに下ってゆきました。西も東(北や南)もわからない登山者もいますので、道案内のハードルを上げないよう、お願いします。
尾根上にロボット雨量計と書かれていたので、どんなものかと、様々に妄想していたのですが、茶色に塗られた鉄柱と牧場で牛乳を集めるような容器が尾根の左側に置かれているだけでした。派手な構造物を期待していたので、がっかりしながら歩いてゆくと桐生市基準点No.135(標高1054m)の埋められたピークがあり、そのわずか先、縦走路を少し離れ、露岩がちりばめられたピークが鍋足沢の頭。山頂には文字の掠れた桐生倶楽部歩く会の山名標と頭の丸い山名標の2枚のプレート。頭を赤く塗られた主図根点の石柱。
山頂から縦走路までのゆったりとしたスペースは実に居心地の良い場所でした。あ、ここは、いってみれば「鍋足沢の頭ノ肩」。山の肩って、こんな感じだよね。誰が最初に裏の肩なんて、いったのか知らないけど、困ったもんだ。

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