なべわりやま。北に聳える荒山と一緒に語られることの多い山ですが、「やまの町 桐生」では、一山一山丁寧に紹介してゆきます。次回の山行では秋の花を見たい、と楚巒山楽会の会長から、メールが送られてきました。では、と地蔵岳か長七郎山に登って覚満淵を歩こうかと思っていたところ、当日、鍋割山に行くとの仰せ。で、北からは何度か鍋割山にご案内しているので、南にある赤城森林公園から登ってみようということになりました。十数年前、南面道路の三夜沢の信号の先から案内板に従って鍋割相吉林道に入り、森林公園にゆけたので、南面道路を走り、案内板にったすると、なんと相吉林道はまだ通行止めです。
で、新南面道路(からっ風街道 この名前使ってらっしゃる人いるでしょうか)の赤城青年の家の脇の林道鶉線にはいり、ゴルフ場に両側をはさまれた道を通り抜けるとT字路に突き当たります。林道相吉線です。左折するとすぐに鍋割山への登り口、森林公園は右折です。赤城オートレース場、樹林の中にある馬頭観音を過ぎるとフェンスから勢い良く水が流れ落ちています。小坂子白鳥水利組合水源地と書かれた看板。甘露水。林道を進むとガードレールに行く手を阻まれます。森林公園から先は当分の間通行止めになっています。傍らの標柱には荒山登山口の文字。赤城森林公園の広い駐車スペースに車をとめます。

駐車場からは、雑木の尾根のだらだらした登りが棚上十字路まで続きます。ひろ〜い尾根に付けられた登山道のしっかりとした踏み心地で、足どりは軽いのですが、いささか単調。時おり頭を覗かせる鍋割山に心を和ませながら、道中何ごともなく十字路に到着。十字路の道標には水の文字が刻まれています。ご親切な方もあったもんで、山道であう水場は登山者にとって旱天の及慈雨、ありがたいことです。左折して荒山高原。
荒山高原から鍋割山までは登山者だらけの人気コースです。以前は荒山と鍋割山を往復する行者がいましたが、今は走って往復するのがトレンドのようで、何人かのランナーが我々を抜いてゆき、戻るのを見送りました。手入れの行き届いた山道を歩くのに何の苦情を申し立てる筋合いはないのですが、もうちょっとお手入れに手心を加えていただければと思いました。荒山高原は公園というより、庭園と化していました。荒山から鍋割山への登山道も広く刈り払いが行なわれて風情がなくなってしまいました。すみません。けしてけしてクレームではありません。山頂に小さなお子連れが多くて寛げないのも仕方のないことです。山頂でのんびりしたかったら別の山を選べば良いことです。一服の後すぐ下山しました。
鍋割山から鍋割山登山口への下りは平野を正面に見据えて下る胸のすくような下り道です。下り切ったところに道標。【道標の前で寛いでいた熟年の夫婦、道標を物干がわりに使いやがって、道標を隠すな。演歌なんかを大音量で巻き散らすな。登山道の真ん中にシートを広げられたら、俺たちどこを歩けばいいんだ。】すみません、私としたことが、つい。地図もガイドブックも持たない楚巒山楽会員にとって道標は大事な情報源の一つです。道標には物をかけないように。登山道を塞いで店を広げないように。よろしくお願いしておきます。洗濯物を外して読み取った道標には、鍋破山前不動を経て登山口の文字にカッコ書きで急坂につき要注意などと不穏なことが書かれています。君子であるわれわれ楚巒山楽会員は、そんな処には近付きません。どうせ夫婦者を跨いでいかなくては通れないし、そんな失礼なことはできません。迷わず獅子ヶ鼻を経て登山口の道標に従い直進します。危うきを避けたと思いきやどうしてどうして結構な岩の道でした。鍋割高原は広々とした笹の原で充分にくつろげる場所です。鍋割高原からのくだりは一難去ってまた一難、結構すぎるほどの岩場の下りです。最後の林道歩きも水源地のお陰さまでなんとか生還できました。

inserted by FC2 system