アンテナ山考
 先日、桐生市川内2丁目の赤城神社から経塚山を経て桐生市自然観察の森に至る尾根道を歩いていたときのこと、360.2m四等三角点 点名笹久保のすぐ上のピークに「アンテナ山」と書かれた山名プレートを見かけました。通称としてアンテナ山と呼ばれている山が各地にあることは知っていましたが、山名として付けられたものを見るのは、初めてです。事実、その山の山頂にはアンテナが林立していて、麓からでも、尾根筋からでも見ることができます。地元の方が便宜的にアンテナ山と呼ぶこともあるでしょう。元来山の名前はそんな風にもつけられてきたのでしょう。各地にある愛宕山、浅間山、琴平山などは山頂に、あるいは山腹に愛宕神社があったり、浅間様の石祠があったりしたところからそう呼ばれ出したものが定着したものでしょう。

 アンテナ山を山名として定着させてしまうのはいかがなものかと。この山頂には、祭神はわかりませんが石祠もあり、山頂は外れていますが、三角点もあります。アンテナ山と呼ばれる以前にちゃんとした名前があったのかも知れません。楚巒山楽会でも、名前のない山、山名標の付いてない山に、山名プレートをつける運動をしています。つける前に、地図や文献を調べたり、地元の方に尋ねたりしています。それでも判明しない時は、なるべく異論のでないような、登った方が納得できるような山名をつけるようにしています。下の四等三角点には、R・Kさんの標高だけ記したプレートがかがげられていました。それも一つの見識でしょうが、数字ではなく名前で山を呼びたい。R・Kさんの標高だけプレートは萱野山の山頂にもありました。萱野山には当会の山名標を付けました。ガイドブックやサイトで山名プレートがないと記述されている山に予め作成してゆくことがあります。その山に山名プレートがつけられていたら、当会のものはつけずに持って返ります。山には何もいらないという方も、いらっしゃるでしょうが、山頂に一枚くらい付けさせて下さい。誰もが安心して登れるように、多少のテープやリボンも許して下さい。

 とりあえず、笹久保山の山名標を付けたいと思います。

アンテナ山その後
ほぼ、一年ぶりに笹久保山を訪れたところ、上記のアンテナ山の山名プレートが撤去されていました。この辺は税金で整備という名のもとに破壊された里山(桐生自然観察の森と呼ばれている)と地元の方々が手入れされている小倉山の間にある昔ながらの山道の残る貴重な尾根筋です。頂上にアンテナが立っているとはいえ、雷電様の石祠が、地元の信仰を集めていた頃のままの道であるかもしれません。そんな山の名前が何の考えもなく、アンテナ山とされるのは嫌だなと思っていたところ、めでたく解消されました。雷電山と呼ぶのが普通なのでしょうが、麓の字である笹久保山がいいな。

上記の山の記述はこちらへ     トップへ戻る inserted by FC2 system