粟島

*後ろ髪を引かれるように倉吉を後にして、筆者の旅は非常にルーズ、米子での乗り換えに思いがけず時間が空いてしまうので急遽短時間で登れる山を探します。地図を眺めるとありましたね、標高36m、一直線に階段で登る粟島。代表幹事ならうけ狙い、なんて言うところですが筆者にとっては立派な山です。

水鳥公園の近く、かつては中海に浮かぶ小島だった粟島は江戸時代の干拓によっていまでは田園地帯にぽこんと丸い姿が可愛らしい小山で、山頂には少彦名命をご祭神とする粟島神社があります。別名明神山。
麓の社務所と大燈籠から伸びる階段は188段。新しいもので真中に手すりもあって歩きやすくはありますが、途中に全く遊びがなくてときどき立ち止まって息を整えなくてはなりません。山を覆う樹木は大木が多くて緑は濃く、深閑としていかにも神奈備という気がします。
まあ、36mですからすぐ神門に到着、石畳の道をつたって正面の神殿にご挨拶。山頂の平地はほとんど苔に覆われ、ぐるりを囲む木々はみっちりと太くて葉を茂らせ、その吐息で構えるカメラが曇るほどです。社殿脇には玉石の上に古い狛犬が飾られており、中国地方の狛犬は表情は厳めしいのですが、尻尾を高く掲げているものが多くなんとなくユーモラスで可愛い。
展望の良い山頂だと案内板にありましたが、本日は曇天で、西の出雲大社遥拝所からも東の伊勢神宮遥拝所からも見えるのは直下の田園と周りの緑だけで少し残念です。

この神社に祈願した八十八歳の老婆が子を授かったといい、米子(分解すると八十八子)の地名はそこから来ているのだそうで、これは長居をしているとうっかりして何か口走りそうで危ないではありませんか、桑原桑原。
苔の中を北側へ行けば山道になり、そちらの急斜面を下ると麓にはいくつか洞窟があって、知らずに人魚の肉を食べてしまった少女が比丘尼となって隠れ住んだという伝説や、万葉集に詠まれたという岩屋もあるのですが、本日それほどの余裕がないので再び階段を使って来た通りに下ります。それにしても階段って登るより下る方がくらくらしますね。
社務所の方から伝説の岩屋を少しだけ覗き、逃せばまた長時間待たなくちゃならないので水鳥公園を抜けて一路米子駅へと戻りました。
(あとひとつ、山陰の山が続きます)

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社務所前の大燈籠
一直線に階段を登る
頂上の社殿
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狛犬・尻尾が可愛い 北側へ下る山道 粟島全景

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