ほたる山

*○青岩公園
昨年暮れの金剛萱でなんだかすっかり気に入ったクリッペ山。くりっぺ、くらっぷ、ふらっぺ、なんて馬鹿な活用形をでっち上げながらまずは青岩公園へ。西牧川と南牧川が合わさって鏑川と名を変える合流地点にある緑色片岩の大きな岩畳。明るい青色の平たい岩が川へ向かって張り出していて、上を歩けるようになっています。中央構造線の南側に全国的に分布しているそうで、わが町桐生は北側なのだから、眼に珍しいわけです。
確かに固い岩ではあるけれど、一定の方向に剥がれやすく、パイ生地のように重なった層が少しの力で落ちるのが面白い。藤岡の三波石も同じ種類で天然記念物に指定されて持ち出し禁止と聞いていますが、青岩公園のものはまだそんなに厳しくはないようです。

○ほたる山
青岩公園の南側に重なる山の一番とっつきにあるほたる山公園に車を停めて、いざほたる山へ。
左手に兄倉山(御嶽山)のいかにもクリッペらしい急峻な尖りを眺めながら、右側の大きな石柱が立つ山道へ入ります。入ってすぐに小さなお堂があり、中には供養塔、脇には小さな石祠やもう切られてしまったご神木があった跡を示す石柱があり、この場所、昔々にお菊さんが捕まった場所らしい。
お菊さんという方、妹の春さんと共に才色兼備、殿の寵愛を受けるのを妬んだ同朋に無実の罪を着せられて処刑されたのだとか。いつの世も嫉妬は怖いものですが、すぐに濡衣は晴れて手厚く供養されたそうで、その供養の最中、ご神木に二匹の蛇が現われたといい、今でも五月にお祭りがあって、供養塔にも石祠にも石柱にも色鮮やかな造花が供えられています。

お堂からほんの暫く気分良くなだらかだった山道は、突然急登に変わり、これがクリッペ山の特徴です。ジュラ紀だの白亜紀だのの変成の上に新第三紀や第四紀の地層が堆積し、尚その上にお椀に入れた砂をぽこっと盛ったように別の地層が乗っているのだからそりゃあ急。歩き始めの重たい腿を宥めながら稜線に出れば、でも標高354mの可愛い里山、あっという間に頂上です。
新しい石柱が立ち、この山は通称がほたる山、登記上は小山、別に小太郎山の異名も持ち、下仁田九峰(稲含山、御嶽山、蛍山、大山、大崩山、藤山、浅間山、伊勢山、川井山)のひとつですが一番低いのじゃなかろうか。枯枝を透かせて向いの御嶽山(兄倉山)は見えますが余り展望はありません。

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後に聳える川井山
青くて大きな岩畳
岩は層を成している
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ほたる山公園案内図
公園から見下ろす下仁田の町
山道入口
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お堂の脇の石祠
登り始めの気持ちいい道
頂上に石柱

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