丸山(米山薬師)

*今年はまだカタクリが咲いていると聞いて、桜もちょうど満開、どちらも楽しみたい、でも迷いたくない、ひとりで歩けてカタクリもすぐ判る場所、そうだ太田米山薬師へ行こう!とは言ってみたもののいつもは行動半径が2kmくらいですから、大丈夫かしら筆者。

あちらの桜、こちらの椿、あ、あそこにも桜とふらふら裏道ばかり走り、ようやく着く丸山宿。昔ながらの板塀のお宅が両側に並ぶ通りには高山彦九郎の「小俣行」からの抜粋の看板と共に古い道標。曰く「(金山から)猶北にゆき丸山に至る。太田より是迄一里半是より桐生新町迄二里半と」「丸山八町並屋作東西の通也はたこやもみゆ、宿の中小溝流る、西に米山薬師堂建ツ」
みなさん歩いて移動していた時代、桐生には約10キロ、筆者は桐生新町よりもっと山間から出てきたのでもう普段の何倍も、なんてバイクのくせに威張っても始まりません。常に丁寧に手入れしてらっしゃるのでしょう、古い美しい家並の正面に丸山がちんまりと可愛い。右側の奥に色濃い桜のかたまりが見えて、これは賀茂神社のこの季節を彩る名物陽光桜、華やかです。

通りの突き当たりに赤い幟のたつ階段があり、ここが登り口で満開のソメイヨシノが大きな花雲を広げています。右手の斜面を早速探せばいくらか萎れてはいますがカタクリの花が陽に透けて無数に咲き乱れ、けれども残念、全て頑丈な鉄柵で囲ってあって近寄れません。長いレンズをつけた大きなカメラを持つひとが群れていて、筆者のデジカメなど鼻で嗤われてしまいます。

気を取り直して桜の階段を上がればすぐに薬師堂。まだそんなに時代を経ていない建物に色鮮やかな幔幕が張られ、古いお堂は頂上にあったのに焼失したと聞きます。左右の庚申石を見ながら二、三度階段がカーブすれば、岩の目立つ天辺へ。直下には嘉永の年号を刻む青面金剛はじめ石祠や石碑が並び、雪柳が真っ白に枝垂れ、木々の若芽が柔らかな黄緑、薄緑。いよいよ山笑う季節です。
天辺には山神さまでしょうか石祠がふたつと大きな根本山神の碑があります。114mしかないけれど、八王子丘陵と金山丘陵の間のれっきとした独立峰(丘)、八王子丘陵の東端の山並み、小俣の山々、関東平野の眺めどれもなかなか。ベンチに座って下の音など聞きながらしばらく風に吹かれていました。

来週くらいまでならカタクリはもう終わりでしょうが、陽光桜の豪華さ、北西にある住吉神社裏のソメイヨシノの並木の花吹雪、どちらもたっぷり楽しめそうです。

* * *
丸山宿の突き当たり
桜満開の登り口
米山薬師
* * *
階段の両脇には庚申石
頂上直下
天辺には石祠と石碑
"
"
"
八王子丘陵の東端
関東平野がず、ず、ずいっと
カタクリはそろそろ終わる

* 楚巒山楽会トップへ * やまの町 桐生トップへ

inserted by FC2 system