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*今年は紅葉がことのほか良くって、会長お仕事ばかり してちゃつまりません、俳人たるものこの色を愛でなくちゃ、と忙しいひとをお誘いして仙人ヶ岳へご案内してきました。菱の黒川ダムの上流からすみれ山好き 会さんがつけた道を辿って、って言っても筆者も初めて通る道です。

林道の終点、少し開けた場所に車を停めてまずは作業道へ。代表幹事の記事で予習はしていたのですが「山火事注意」の垂れ幕はすっかり色褪せて作業道は雑草 だらけ。短くてかなり急登だと聞いているのでこちらから登る方は少ないのかしら。折り重なった枯れ枝や枯葉を踏み分けてわしわしと歩けば仙人ヶ岳への古ぼ けた標識がかかる山道になり、薄暗い檜の林の斜面の道は急勾配で木の間に青空がちらちら見えるのですが、これがなかなか近づかない。
観音山から雨降山、前仙人を結んでの稜線は歩かれた方の記事をけっこう目にして、たいていはこの道は下山ルートとして使われているようで、そりゃそうかこ のルートの往復だけじゃ普通は少し歩き足りないかもしれませんが、当会のカラータイマーはそんなに長時間は持ちません。このくらいがちょうどいい。

急な斜面は足巾でという原則通りゆっくりと登ります。いくらかつづらに折れてはいますがほとんど直登で、植林帯に雑木が交じり出して明るい斜面になればも うひと息で稜線で、ここには目印のための細い棒と鮮やかなオレンジのテープががあります。

尾根のよく踏まれた道を右のピークへ。見下ろせば二週間前より木の葉は水気を失ってはいますが黄色から茶色へと織りなすグラデーションが美しい。観音山へ の稜線、白葉峠への稜線を目で辿り、筆者は広沢方面から帰るときに見えるこの山の形が好きなのですが、こんなに長い支尾根が何本もある山のようには見えな いのが不思議。
ここから二つ目の岩のピークは一気に視界が開け桐生の町の向こうにうっすらと見えるのは奥秩父の山並みかしら。足利の山々も低く霞み、あれが石尊山、向こ うはたぶん行道山と誰もいないのをいいことに実にいい加減なことを言い合います。
黄葉に山つつじの深い赤が時々交じるのを楽しみながら歩けばすぐに笹の道。いくつか古びた標識を過ぎれば看板の立つ頂上で、この直下に真っ赤な大楓が一 本、この季節にしては強い日光に透けて柔らかな風に揺れるのは見飽きません。

頂上には足利側から来たというパーティが二組。小学生の男の子たちが途中にあるという鎖場のことを楽しそうに教えてくれて、そこをちゃんと登ったんだと目 を輝かせての大威張り。子どものときからきちんと山を歩いてればきっといい子に育ったんだろうなあなどと、ほんのちょっと来し方を考えたり。
お昼は教わったばかりの足利側の前仙人で広げます。また幾人か頂上へ向かう方が通り過ぎ、赤雪山へ向かうと言っていた年配のご婦人二人が戻って来たり、や はり日曜日の仙人ヶ岳は賑やかです。

ゆったりと時間を過ごして来た道を戻ります。黒川への急な下りは土がほど良く柔らかくて思っていたより滑らず、この後に待ち受ける車の鍵の消失という事態 を想定もせずに鼻唄など歌えばあっという間に駐車場所へ。
この道、仙人ヶ岳への最短コースではあります。次はここを下りに使ってもっと別のルートを歩いてみよう。

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林道突き当たりから作業道へ
山道のはじまり
稜線まであとひと息
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稜線との合流点
最初のピークへ
見晴らしのいい岩のピーク
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仙人ヶ岳
楓の大木
三角点と頂上看板
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笹道をもう少し東へ
樹間にたぶん残馬山
赤雪山か

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