オロオソロシ沢

増田 宏

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 奥鬼怒にオロオソロシの滝、ヒナタオソロシの滝という一対の有名な滝がある。オロは日陰、ヒナタは日向であり、鬼怒川を挟み対になって落下している。いずれも対岸の観瀑台から見ることができ、遠望すると一つの大滝のように見えるが、いずれも数段になって連続する滝の総称である。名前からしていかにも恐ろしい滝で到底登れないと思っていたが、沢登りの対象になることが判り、以前から気になっていた。ヒナタオソロシの滝は中腹から湧出する小沢にあるが、オロオソロシ沢は根名草山を水源とする。今回、久しぶりに山仲間のHさんと沢に行くことになり、懸案のオロオソロシ沢を目指した。
 女夫淵から日光沢温泉まで行き、鬼怒沼への登山道を分けたところから入渓した。左岸にヒナタオソロシの滝がかかる支流を分岐するとすぐオロオ ソロシ沢出合である。沢は十b前後のナメ滝を連続させており、水流通しに容易に登れる。その中で15bほどの2つの滝が核心部である。ひとつ目の滝は左側の方が緩いが、落口近くで水流をまともに浴びるので右側の岩場を登る。傾斜は強いが、足場が豊富なので確保なしで直登できる。ふたつ目の滝は 右側を直登して落口に横断するが、こちらも足場が多く、確保を要しない。
 さらにナメ滝を越えていくと湯沢峠に登る登山道の横断地点になる。この先もナメ滝が連続するがいずれも容易で、沢伝いに辿れる。二俣で水が涸れ、左の本流に入るとすぐナギになり、足元を崩さないように慎重に登る。対岸には四郎岳と燕巣山が聳えている。しばらく登り、ナギが安定して登り易くなるとすぐに大嵐山を巻く登山道に出た。ここから登山道を日光沢温泉に下り、女夫淵に戻った。

 2013年9月21日
 女夫淵(1時間40分)入渓地点(2時間)二俣(40分)登山道(1時間30)日光沢温泉
 (1時間30分)女夫淵

金精峠から日光沢温泉
 金精峠から温泉ヶ岳、根名草山を経て日光沢温泉へ下る道を参考に紹介する。この縦走路は日光と奥鬼怒を結ぶ道で、八丁の湯を経営していた佐藤 富次郎さんが伐り開いたことから富次郎新道と呼ばれていた。金精トンネルの日光側入口の駐車場から登り始める。昔は崩壊が著しく、歩き難い道だったが、現在は北寄りに新道が築かれて歩き易くなっている。峠には金精神社があり、中に御神体が祀られている。針葉樹林の稜線伝いに登って笹の中を行くと温泉平に着く。道は温泉ヶ岳(2333b)を登らず東側を巻いていくが、近年ここから山頂に登る道が付けらた。山頂まで10分ほどで登れるので往復したい。戻って東側の笹の斜面を巻き、針葉樹林帯に入ると旧念仏平避難小屋跡に着く。以前、1人でこの小屋に泊まろうとしたが、幽霊屋敷のような古い小屋で中が暗く薄気味悪く感じたので予定を変更して夕闇の迫る中を日光沢温泉まで下って泊まったことがあった。その晩は風呂に入ってビールを飲んで寛ぎ、幽霊屋敷に泊まらないで良かったと思った。旧小屋は数年前に取り壊されて10分ほど根名草山寄りに新しい小屋ができている。ただし、水場はここしかないので注意が必要だ。新しい小屋を過ぎて念仏平を越える。付近は立ち枯れの倒木が多くて迷い易かったが、今では刈り払われて間違いようのない道になっている。下り切った地点から登り返すと根名草山(2330b)の頂に着く。山頂から北に下り、大嵐山(2304b)の西側を巻くと稜線伝いの下り道となる。途中で右に手白沢・加仁湯方面への道を分け、急な道を下ると日光沢温泉に着く。以前の奥鬼怒は歩かなければ行けない温泉で、特に日光沢温泉の鄙びた雰囲気が好きだったが、現在は日光沢まで車道が通じて秘湯の雰囲気はすっかりなくなってしまった。

 トンネル(30分)金精峠(50分)温泉ヶ岳(50分)念仏平避難小屋(50分)根名草山(1時間40)日光沢温泉

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観瀑台からオロオソロシの滝 オロオソロシの滝下部15b滝
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オロオソロシの滝上部15b滝 オロオソロシの滝上部1
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オロオソロシの滝上部2 オロオソロシの滝上部3
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登山道横断地点上部1
登山道横断地点上部2
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登山道横断地点上部3
ナメ滝の直登
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ナギ
ナギから四郎岳(左)、燕巣山(右)
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日光道への道から根名草山
温泉ヶ岳分岐
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念仏平避難小屋
念仏平避難小屋から温泉ヶ岳
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念仏平遠望
根名草山頂

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