そらんさんらくかいとよみます。

筆者が、まだちゃんとした山登りをしていた頃
とある奥秩父の主脈の縦走をして、重い荷物を背負い、山小屋という山小屋に泊まり、
7泊目だか、8泊目のとある大日小屋を目指す頃にはもう夕暮れ時、千代の吹き上げ、
縦八丁、口八丁、の難所をこえ、至る大日岩の指導標を見る頃には
すっかり辺りは暗くなり、街灯がつき、家々からは美味しそうな晩ご飯の香り。

ここまでくれば、もうすぐ大日小屋さ。今夜のご飯はフリーズドライのカレーと魚肉ソーセージだ。
と頑張って歩いていると、至る大日岩の指導標。
変だぞ、ここはさっき通ったはず、半信半疑で歩いていると、至る大日岩の指導標。

歩いても、歩いても、まだまだ歩いても、至る大日岩。
途方に暮れて、ガードレールに座って休んでいると、通りすがりの一清道人。

何をしている。よい子はもう家に帰る時間だぞ。
かくかくしかじかと窮状を訴えると、

そうか、それはさぞお困りのこと、お察しします。
若者よ、ソナタの落としたのは、この金の斧か、それともこちらの銀の斧か。

いいえ、私は道に迷っているのです。

正直者め、ソナタにはこれを授けよう。

あの、私は、とある大日小屋に行きたいのです。

そうか、そうか、人にはそれぞれ事情があろう。
これを見て、頑張るんだぞ。

一清道人は流星号に乗って去ってしまい、
残された物がこの旗でした。

以来、筆者は一清道人の教えを守り、決して無理をしない山歩きを続けることになりました。


なお、ここに出てくる地名等は、特定の山域、小屋を指すものではなく、全国各地にあるであろう、
奥秩父、および大日小屋等とは、関係がありません。

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