冬の赤城山と袈裟丸山

桐生みどり

桐生地域(桐生市・みどり市)に積雪地帯があることをどれだけの人が知っているだろうか。赤城山(黒保根町)と袈裟丸山(東町)山頂部が深い積雪に覆われることを山に登る人を除いて大半の人は知らないだろう。渡良瀬川西岸地区からは雪を頂いたこの2つの山が並んでいるのが遠望できる。両山の山頂部は強い冬型気圧配置時には雪雲に覆われ、真冬には例年1m前後の積雪がある。市内から1時間ほどで雪山歩きが楽しめるので私は毎年訪れるのを恒例としている。

赤城・黒檜山

赤城山のうち桐生地域には最高峰黒檜山(1828m)及び駒ヶ岳(1689m)・長七郎山(1579m)がある。桐生側から赤城山に登る道は花見ヶ原から黒檜山、利平茶屋から鳥居峠がある。雪山歩きの入門コースとして大洞側は賑わっているが、桐生側は案内書にも殆ど紹介されておらず、冬に入山する人は稀である。中でも花見ヶ原から黒檜山の道は本格的な雪山登山を楽しめる。入山者が殆どなく、地形が複雑なのである程度山馴れた人にしか勧められない。林道が除雪されないので真冬は花見ヶ原まで車が入れないことが多い。条件の悪い年は県道分岐から歩くことになるので、その場合、日帰りで山頂を往復するのは難しいだろう。傾斜が緩いので輪かんよりもスノーシューが適している。スキーは登りには有効だが、樹が密生して積雪が少ないので下りはよほどの技術がない限りまともに滑れない。

起点の標高が約1200mで標高差は600m程度に過ぎないが、頂上まで4kmと長いのでラッセルがあると時間がかかる。明瞭な尾根通しではないので積雪期にはいつも登山道を見失ったが、最近積雪期用に樹に目印のビニール紐が付けられたので注意すれば道を辿れる。それでも3km地点から3.5km地点間は地形が平らで判り難い。迷っても登りは高い方に行けばいいが、下りで迷い苦労したことがある。強風で上りの踏跡は跡形もなく消え、地図と磁石だけでは針路選定ができず、途方に暮れた苦い想い出がある。3.5km地点から上は尾根が明瞭になるので判り易くなる。花見ヶ原から山頂まで通常3〜4時間かかる。山頂の積雪は50〜60cm、多い年で1m前後である。

2006年は積雪のため、春まで県道分岐から林道が通行できなかったが、2007年は積雪が少なく、1月、2月とも花見ヶ原まで入ることができた。1月は花見ヶ原から殆ど休憩なしに歩き続けて山頂まで3時間強で着いた。余裕を持って歩くならば4時間くらいみる必要がある。2月は雪が締まっていたので2時間半で到達した。

山頂の積雪は30cm40cmほどで、稀に見る小雪だった。

袈裟丸山

袈裟丸山で桐生地域にある峰は、前袈裟丸(1878m)、後袈裟丸(1908m)である。狩猟者の車が入っているので積雪の多い年を除き折場登山口・塔ノ沢登山口まで車で入れる場合が多い。郡界尾根登山口は入れないことが多い。装備は輪かんかスノーシューが必要である。積雪は前袈裟山頂で通常1m前後、黒檜山頂より多い。

積雪期の袈裟丸山で最も一般的な登路は折場登山口から前袈裟である。賽ノ河原からは雪をまとった袈裟丸連峰の堂々たる姿が望まれる。小丸山付近まで狩猟者の足跡が付いていることが多く、賽ノ河原か小丸山までなら冬山に慣れていない人でも気軽に訪れることができる。小丸山から避難小屋のある鞍部を経て突起を越えるまで例年積雪は多くないが、前袈裟への最後の急登になると急に深くなり、膝を超すラッセルとなる。山頂まで通常4時間ほどだが、積雪の多い年には賽ノ河原から5時間かかったこともある。車が登山口まで入れれば郡界尾根の方が若干楽であり、3〜4時間程度で後袈裟丸山頂に着ける。

2006年は積雪のため、3月中旬まで林道が通行できなかったが、2007年は1、2月とも林道に殆ど積雪がなく、折場登山口まで入ることができた。登山口の積雪は僅かで賽ノ河原近くなってようやく30cmほどの積雪になった。賽ノ河原から輪かんを着けた。小雪とはいえ前袈裟の急登は慣れない人には大変だろう。山頂の積雪は例年ならば1mを超えるが、せいぜい50〜60cmほどしかなかった。登り4時間、下り2時間半の行程だった。

郡界尾根はここ数年積雪のため林道が通行できなかったが、2007年は殆ど雪がなく車で登山口まで入ることができた。登り始めは登山道に全く雪がなく、郡界尾根上に出て初めて積雪が現われた。尾根上には笹が出ている箇所が多く、残雪期のような様相だった。傾斜が急になる標高1750m付近からようやく雪が深くなって輪かんを着けた。後袈裟丸山頂付近は樹氷が付着して冬の様相をしていた。一気に登ったので無雪期と変わらず、2時間半で山頂に着いた。ここ20年、毎冬袈裟丸を訪れているが、2007年は最も雪が少ない冬だった。

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