鳥居川

                             

                               桐生みどり

 

鳥居峠付近に源を発する鳥居川について沢歩きの対象として以前から気になっていた。今回、本流と三階(山崖)の滝をかける左俣を登ってみた。残念ながら、両方とも沢歩きの対象にならないことが判明した。以前、赤城山鋼索鉄道(ケーブルカー)が通っていた本流は緩やかな沢で、滝一つなかった。左俣は源流が脆い火山灰の崖地で、堰堤が連続していた。

三階の滝遊歩道入口の橋から沢伝いに本流の遡行を開始する。新しい堰堤(治山事業なので正式には谷止工というが、ここでは砂防事業の名称である堰堤を用いる)が三基できている。その先で三階(山崖)の滝をかける左俣を分岐する。水量比は二対一である。本流は滝一つない平凡な流れで、旧赤城山鋼索鉄道の橋脚が沢伝いに残っている。谷幅が広く、傾斜が緩いので山岳鉄道の敷設に適していたのだろう。沢歩きの価値はないが、橋脚以外に軌道の跡も残っており、古(いにしえ)の山岳鉄道の軌道探索をしてみるのもいい。何もないまま御神水に到着した。

三階の滝がかかる左俣を遊歩道から遡行する。三階滝の名称は他にも幾つかあり、三階、山崖、三崖、三蓋などと表記されている。いずれも多段の滝であり、おそらく三階の滝は三段の滝と同義だと思う。山崖等は宛字であろう。この滝は二段だが、見方によっては三段に数えることもできる。落差は意外に小さく、15mかせいぜい20mである。直登できないのでいったん遊歩道を登って滝の上に降りようとしたが、斜面の傾斜が強く下りられない。遊歩道に戻って、鎖が固定されている箇所を登ってから沢に下降した。下降地点は堰堤の上で、直下に10mほどの滝とさらにその下に数mの滝が連続している。

堰堤を幾つか越えると二俣になった。銚子の伽藍のように両岸が覆い被さった右の本流に入る。脆い岩が今にも崩落しそうでこわごわ通過する。出口に7m滝があり、その上には堰堤が見える。この滝は両岸が固結度の低い火山灰でぐずぐずと足元から崩れ、登るのは危険だ。戻って左の沢との中間尾根に取り付いた。途中から左の沢に下りようとしたが、崩壊地になっていたので下りられずにそのまま尾根を登り、旧工事用道路に出た。この道路は治山工事(山腹工)用で崩落している箇所もあるが、歩行には支障ない。旧道を北に辿って10分ほどで鳥居峠に出た。

本流
遊歩道入口(5分)二俣(40分)御神水(30分)鳥居峠

左俣
遊歩道入口(30分)三階の滝上(60分)治山工事用旧道(10分)鳥居峠

遊歩道の橋から鳥居川 赤城山鋼索鉄道の橋台
赤城山鋼索鉄道軌道跡 鳥居川の流れ(上流)
三階(山崖)の滝 二段15m 山崖の滝上部の10m滝(落口から見下ろす)
火山灰の崖にかかる7m滝 7m滝近景

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