桐生の山 

 

桐生みどり

 これまで桐生の山は地理学上の足尾山地のみだったが、市町村合併により範囲が広がった。それに伴い最高峰は根本山(1199m)から赤城の黒檜山(1828m)になった。
 しかし、新市域は行政区画上飛び地であり、桐生の山として範囲を限定するには不都合である。そこで広域圏を範囲と考えると最高峰は袈裟丸山(後袈裟1908m)となり、渡良瀬川東岸の足尾山地、八王子丘陵、赤城山、袈裟丸山の四つの山域に大別される。

赤城山

 赤城山の東半分が桐生の山である。主な山は黒檜山(1828m)・駒ヶ岳(1689m)・長七郎山(1579m)である。山域の範囲は水系で区切るのが通例なので、地形上からその範囲は小黒川までとするのが妥当であろう。

袈裟丸山

 袈裟丸山は両毛国境(群馬・栃木県境)に連なる足尾山塊南端の雄峰で、最高峰の奥袈裟(1961m)を始めとして前袈裟・後袈裟・中袈裟・法師岳の5つの峰を連ねている。うち桐生地域は群馬県内のうち沼田市管内を除く南西部であり、主な峰は前袈裟(1878m)・後袈裟(1908m)である。山域の範囲は押出川・小中川・楡沢流域とし、地形上から西を田沢川で区切るのが適当と思う。

栗生山地域

 小黒川と田沢川で区切られた範囲は赤城・袈裟丸いずれにも属さず、狭いながらも独自の山域として考える。地質的には火山活動の影響を受けておらず、渡良瀬東岸の山と同じ足尾層群からなっており、栗生山(968m)の名を冠して栗生山地域と呼んだらどうだろうか。 

渡良瀬川東岸山地(渡良瀬山地)

 渡良瀬川東岸の山は地理学上、足尾山地と呼ばれるが、渡良瀬川西岸の足尾山塊と混同し易いので「渡良瀬川東岸山地」又は「渡良瀬山地」と呼ぶことにする。地域研究に先鞭を付けた市川学園山岳部OB会では渡良瀬川西岸の足尾山塊と区別するため、前日光と命名しているが、前日光は通常粕尾峠以北を指す概念であり、桐生の山まで含めることは無理がある。山岳雑誌等では安蘇山塊と呼んでいる場合があるが、その範囲は山域の栃木県側がせいぜいであり、桐生地域まで含めるのは不自然だと思っていた。それに今回の合併で安蘇郡そのものがなくなってしまったので、安蘇山塊の名称はもはや不適当と思われる。
 地質的には足尾層群を主とする中・古生層からなる非火山性の山地である。大谷川以南、細尾峠・神子内川以東を範囲とする独立した山域であり、最高峰は夕日ヶ岳(1529m)である。そのうち桐生地域は地蔵岳(1274m)以南の主脈西側及び桐生川流域である。
 山田郡誌では地蔵岳から鳴神山付近までの主脈を北部郡界山脈、それ以南の吾妻山・桐生市街地に至る主脈を鳴神山脈、その他の支脈を忍山山脈、高沢山脈、赤柴山脈等と命名している。
「日光の神様」と呼ばれた矢島市郎は地蔵岳から根本山までの主脈を「桐生山脈」として記録(桐生山脈の背稜 雑誌山と渓谷)に記載しているので、北部郡界山脈ではなく桐生山脈の名称を提案したい。市町村合併ですでに郡界がなくなってしまったこともあるし、その方が呼び易い。その他は山田郡誌の記述でいいように思うが、支脈に「山脈」は大袈裟なので「山稜」の方がいいと思う。十二山から野峰の支脈については名称の記載がないので「野峰山稜」、丸山から荒神山に連なる支脈については「小平山稜」又は「荒神山山稜」とでも呼べばいいと思う

八王子丘陵

 鹿田山丘陵と八王子丘陵(広沢丘陵)及び金山丘陵を合わせて地理学上、八王子丘陵と総称される。そのうち桐生地域は金山丘陵を除いた2つの丘陵であり、最高峰は茶臼山(294m)である。

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