小地蔵山(岳)

桐生みどり 

 小沼(この)の本地仏虚空蔵菩薩像は現在、黒保根町下田沢湧丸の医光寺にあるが、明治末まで小地蔵山にある虚空蔵堂に祀られていたという。山名は虚空蔵が小地蔵に転化したらしい。青木清著「赤城山 花と渓谷」(上毛新聞社刊)に虚空蔵菩薩像が納められていたという小沼神社の石祠が載っているが、私はその石祠を見たことがない。写真から推定すると36㌢の虚空蔵菩薩像が納められる大きさではない。そもそも仏像を納めた堂宇に小沼神社などと刻むはずがない。石祠は明治の神仏分離以後に設置されたものだろう。
 利平茶屋から長七郎山に登った帰途、小地蔵山を訪ねたが、今回も石祠を見付けることはできなかった。鳥居峠から直接小地蔵山に登る道はなく、登山道は西に山腹を巻いて小沼の北側から長七郎山との鞍部に向かって付けられている。以前、鳥居峠の登山道入口から直接小地蔵山に登ろうとして灌木の藪に阻まれて止めたことがあった。
 今回、頂上から北に向かっている踏跡があったので下ってみた。下り始めは明瞭な踏跡で意外と歩き易い。少し下ると笹の下生えになって踏跡が一時途絶えたが、そのまま下ると再び踏跡が現れ、やがて登山道に下り立った。登山道との合流点は山側が小さなガレになっており、ここから登山道を3分ほどで鳥居峠に着いた。下りで15分から20分程度、笹の深さはせいぜい膝程度なので小地蔵山に直接登るには好都合だ。もっと多くの人が通ればやがて道になるかもしれない。長七郎山の鞍部から小地蔵山に登るのも踏跡伝いだったが、最近指導標ができて明瞭な道になったばかりである。

利平茶屋(1時間)鳥居峠(40分)長七郎山(15分)小地蔵山(20分)鳥居峠(40分)利平茶屋


小地蔵山頂上

小地蔵山頂上の標識

小地蔵山を直登する踏跡

小地蔵山への踏跡分岐

inserted by FC2 system