ゆざわみね。城山林道を駐車場に向かうと下湯沢を挟んで右に聳える(あまり聳えてはいませんが)山が湯沢峯です。桐生市地名考では“ふもとの石泉から鉱泉が湧出している山”とあります。一万分の一の桐生市現形図では明朝体で表記されているのでピークが山として特定されているのではなさそうです。大形山から派生した尾根が下湯沢に落ち込む辺り一帯が湯沢峯と称されているのでしょう。この項では桐生市基準点のあるピークを湯沢峯としました。
碧雲寺の裏山、伊勢窪と呼ばれている辺りに伊勢宮(神明宮)、山神社が祀られているということですが、それは実見していません。

先日、所用があって城山林道を山の師、略して山師のhisiyamaさんと通行した際に、湯沢峯の取付きがわからないといったところ、簡単に登れるとのお答えだったので、ご案内を願いました。桐生田沼線を北上、柄杓山城趾入口で左折し、狭い道を入ります。左に根本山神社、右に碧雲寺を見て進み、進んでいくと、城山林道が左にカーブする地点に下湯沢と書かれた砂防指定地の看板があります。駐車はこの辺りに。林道と分れて簡易舗装の作業道を進みます。進んでいくと右の沢に降りる方向に未舗装の作業道が分れています。自然に帰りつつある作業道を進むと下湯沢の沢床に降り立ちます。沢を跨ぎ(この辺りでは涸れ沢になっていますので、余程普段の行いが悪くない限り靴若しくはサンダルを濡らすことはないでしょう)、下湯沢の左岸というか湯沢峯の山腹に付けられた、やはり滅びつつある作業道に乗ります。やたら倒木の多い道ですが、沢床を歩くよりも楽に歩けます。作業道は大形山からの尾根が急に落ち込み317.7mのピークとの間に作られた鞍部を目指します。鞍部は往時、数軒の民家と畑があったといわれる場所でミニ盆地の様相を呈しています。何カ所か石積みを確認できました。
鞍部に出ると大形山方面、金沢方面への踏み跡が。湯沢峯へは右折。樹林帯の尾根を進みます。317.7mのピークをこえると道はほぼ平坦。鞍部から数えて三つめのピークに桐生市基準点No.107が設置されていました。樹林帯から雑木の林になり、展望はありませんが明るいピークです。標高は323.11m。見上げると城山。居心地は悪くない。
湯沢峯の尾根は碧雲寺の裏手まで続いていますが、伊勢沢の谷の上を弧を描くようにして進みます。割と幅の広い尾根で、この辺りこのコースのハイライトでしょうか。地味ですが、お勧めの山です。綺麗な尾根道でした。
車の回収の都合上、尾根の末端までは行かずに、適宜な地点で下湯沢に下りました。ルートの選定はもちろん(良い子の通る道はありません)、山師です。木工所辺りにおりると宣言された通り、窪状の斜面を急降下すると、ドンピシャ、対岸に木工所が見えました。流石。

コース上に、人の歩いた形跡は見当たりませんでした。ゴミの類いは皆無といってもいい程。野生動物の巣穴、糞、足跡などは各所で見られました。植樹された林も全く手入れされていません。里山に分類される山ですが、入山される方、充分にご注意ください。

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