ばいかさくらてんじん。赤城の流れ山シリーズの第何弾かです。「荒砥村誌」に“西大室字地田栗に菅公を祭る天神社がある(明治四十三年大室神社合祀)。老松の茂る丘上に岩石重畳し、その上に宮が建てられている。この境内に梅の木を植えると数年にして桜に化すという。……現に梅を植えたものが彼岸桜ににた花梗の長い花を開いている。”とあります。

重畳していた石は硯石と名前がつけられていますが、確認はできませんでした。現在の梅化桜天神山は草の丘です。参道に樹木はありましたが、大変残念なことに私には樹木を鑑定する能力はありません。まして、その樹木が桜に化けた梅かどうかなど、見破ることは到底不可能です。
産泰神社のすぐ近くで、土地の人に尋ねたところ、すぐに場所を教えてくれました。梅化桜天神の近くの方は梅が桜になってしまうことも教えてくれました。ご近所では結構有名な山のようです。福田浩さんの「南麓から見た赤城山信仰の変遷」には梅化桜天神山と近くの丸山には赤城山を対象とする崇拝信仰遺跡があったと書かれています。“とにかく、このあたりでは、流れ山があってその頂きに岩・石があれば赤城山を対象とする崇拝信仰遺跡があると考えてよいでしょう。”ということです。もともとは菅原道真の天神様ではなく、天神地祇の天神様が祭られていたのでしょう。
国道50号線のすぐ北側にある小山なので、岩しかなかった丸山はすっかり削られて住宅地になっています。梅化桜天神山の参道も民家とラブホテルの間になってしまいパッとしないロケーションです。

梅化桜天神山へは国道50号線を前橋方面に進み、神沢川を天雷橋でわたり、東大室町西信号を右折します。住宅地の中のラブホテルが目印です。駐車は近くの集会所がよいでしょう。参道の脇にある石碑の辺りは、若干の岩場になっています。重畳としていた岩の名残りでしょうか。石碑には梅化桜天神宮と刻まれています。山頂は全くの平坦地。赤城山が遠望できます。

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