ぼんてんやま。小夜戸峠の帰りに、小平の大杉にふと立ち寄ったのが運の尽きでした。小平の大杉は樹齢は推定で1000年、高さは24m余り、巨木です。傍らの説明板に“うしろの梵天山に千庚申塔があり、茂木の住民が毎年五月、庚申講行事を今日に伝えている。”見ると、ちょっとした山道が斜面に刻まれています。これを見逃す山の師ではありません。急遽、登ってみることになりました。登りはじめると、軽装の我々を案じた大杉の家の主宰者、小平サクラソウ之会の会長さんが、追いかけてきました。聞くところによると、午後遅くに登り始めた登山者が、行き詰まって登ることも降りることもできなくなったことがあったそうで、一応、我々の風体をご覧になり、まぁOKだということで、放免されましたが……。

斜面の山道は登りだしてすぐ、山腹を巻く道に合流します。参道の様相で結構よく見えた道でしたが、すぐに、腐った桟道を踏み抜き、小平サクラソウ之会の会長さんの忠告と相俟って、登る意欲がダウンして行きます。参道に思えた山道はだんだん細くなり、岩をヘつったりする箇所があったりして、梵天山を回りこんだところで、薮の中に消えました。ここから先、道はありません。薮に突入してすぐに、足下が大石から小石までが無造作に積み重なった、ガレ場になり、靴の底から足場が崩れてゆく心細さといったらありません。山の師はといえば、水を得た魚、薮を得た山師、軽量にものをいわせ、スイスイと登ってゆきます。地(治)にいて巒(乱)を忘れず、恐ろしげな斜面にあってものともしません。私は、心の準備ができないまま、ついて行くのがやっとでした。まだまだ師匠には及びません。
サクラソウ之会の会長さんの話では巻かずに直進する道には鎖が二本あるそうですが、何分古いので、直登コースは避けた方が良いということです。

サクラソウ之会の会長さんは県道沿いにクリンソウを植えたり、本来山にあるべき植物を増やして、山に戻したりする活動をされているそうです。頭が下がります。十二神社の前の石段も会長さんが作られたそうです。クリンソウは季節になると県道を素敵に彩ることでしょう。心無い人が持ち去ってしまわないことを祈ります。
下段の3枚の写真は、山の師hisiyamaさんの撮影です。私の身に何が起こったかお察しください。登ろうとされる方は、小平サクラソウ之会の会長さんに心配をかけないよう、こころして登ってください。

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