かわごいし。2007年の1月から、神籠石の探索に参加して、1年以上が過ぎてしまいました。何度も何度も何度も広沢の山に通ってようやっと発見できたのですが、神籠石とはどんなものであるか、長くなりますが桐生市史より引用します。“当石は、同所賀茂沢川の水源賀茂沢谷頭の上流ダイマチ窪から左折して登ること約三町、右折してカワゴ石沢に存在し、丈量巾一丈、長さ一丈一尺厚さ四尺の珪岩質の箱形石である。その形状の皮籠(かわご)あるいは香盒(こうご)に類似するにより皮籠石・香盒石等の称がある。その環境はその上部約三間隔てて高さ六尺一面平らな破面をなし、下部巾九尺、上部巾七尺五寸、厚さ五尺余の珪岩塊峙立し右二岩の主軸は北六十度東の方向を指して磐境(いわさか)の感じのするところである。この石が上代の祭祀趾であることは、この石を賀茂神が降臨した霊石として、維新前までは賀茂神社祭典の前夜神職はこの地に登り降神の神事を行ない、その際に用いた榊を捧持して途中のダイマチ窪に下り、ここより神輿に乗りヤスメ石に休憩し、威儀を整え賀茂神社に奉遷して翌日祭儀を行なう習俗となっていたという伝承から推定されるのである。ちなみにこのヤスメ石は高さ三尺五寸余厚さ四尺四寸余下部の巾九尺七寸、山状をなす珪岩塊である。”

発見にあたっては、広沢加茂ノ入出身で現在埼玉県在住のISO様とご一族、賀茂神社の宮司様にたいへんご面倒をおかけいたしました。たいへんお世話になりました。ありがとうございます。賀茂神社にも発見の奉告をしました。
発見してしまうと、神籠石までは簡単な道程です。何カ所か作業道が左に分れますが、常に右です。進んで行くと、大きな土管の上を左に行く道があり、そちらの方が広い道なので引き込まれやすいですが、そこも若干登りになる右の道を行きます。加茂入沢の左岸を進みます。道が長尾根の裾で三方に別れる場所が台待窪で、初めて左の道を取ります。薮がかぶった道を尾根に沿って進むと左から沢が降りてきます。黄色のテープが二重に巻かれています。対岸にも同様にテープが巻かれています。この沢がカワゴ石沢です。沢に沿って登って行くとやがて水が消え、明るい広い谷間になります。尾根に出ると桐生倶楽部歩く会の消えかかった道標があります。八王子山脈の主脈縦走路です。尾根を越えると太田市の菅塩です。地元ではこの道をカワゴ石越と呼んでいました。二万五千図の菅塩峠の実線の道です。何故、実線になっているのか不思議な程の“よい”道ですが。この道は菅塩峠ではありません。(偽菅塩峠越の項をご覧ください。)尾根を籾山峠の方に進んだ最初のピークがかわご石山。この山は高尾山の候補地であったのですが。
で、神籠石は沢の左岸。大きな石が鎮座していました。賀茂神社の宮司さんの話では、戦前(第二次世界大戦)までは、ここまでお供物を捧げに来ていたということでした。当時は注連縄で囲われ、周りの樹木もなく神々しい感じの場所だったそうです。現在賀茂神社本殿の前にあるヤスメ石よりもよほど大きな石で、明るい谷間と相俟って、往時、神が降臨したといわれるのもむべなるかなの感がありました。神籠石だけの見学なら菅塩峠あたりから尾根を辿ってくるのが、賢い人の選択かも。

2008/10/29 岩石祭祀学提唱地のMURYさんから神籠石について異論があった。「賀茂神社の神籠石(群馬県桐生市)」をご覧いただきたい。賀茂神社の神籠石に関する考察がある唯一のサイトです。山の師hisiyamaさんも私の発見した神籠石には懐疑的なので、神籠石を求めてまた広沢の山や谷を彷徨うことになりました。

2009/3/8 神籠石発見?
正直いって、探しあぐねていました。下の上段右の写真が、賀茂神社の戦前の絵葉書に掲載されていた神籠石です。上の神籠石と雰囲気が似通っています。ある場所もかわご石越えという昔の峠道に面しているし、目立つ岩です。私としてはこれこそが神籠石だと思っていました。
な時に、すずき@東毛さんから2009年3月6日の桐生タイムス紙に掲載された「廣澤町全圖」の中にかわご石があるという連絡を頂きました。早速、桐生タイムス紙を入手しました。上段左が、全体図。中がかわご石付近の拡大図です。この写真ではわかりにくいのですが、かわご石越えよりも一つ籾山峠よりの沢にあるようです。この沢も当然、捜索済みでしたが、急遽、捜索隊を組織して向かいました。ヘロコヤシキの愛宕山の尾根が八王子山脈主脈縦走路に合流する辺りのようです。「群馬県文化財情報システムWEB版」の川越石の所在も同様の位置でした。でも、この地図だと長尾根がない。
下段左は、今までの所、唯一、神籠石の在り処を知るISOさんが、2008年の1月に撮った写真です。下段、中と右が現在の神籠石の写真。沢が荒れてこんな状態になっていますが、ほぼ、同じような形をしていることが確認できました。
で、行き方は尾根からいくなら、かわご石越頂部から籾山峠方面に向かい、ピークを一つ越えた鞍部を下ってゆきます。下から行くならかわご石沢出合いを通り越して、岩石祭祀学提唱地のMURYさんが“転石土石の山が沢をふさいでおり、それ以上上方へ進めないようになっており全貌はようとして掴めません。まさかこの転石のような巨石が神籠石?”と書かれていますが、巨石の脇から水がわき出していて、賀茂神社の宮司さんの説明とも一致しています。私はこの転石のような巨石が神籠石が神籠石だと思いました。
hisiyamaさんはこのこの岩を巻いて登っていった所にある大岩を推奨しています。尾根から下って左の斜面にある岩です。どちらか結論づけはできません。ISOさんか賀茂神社の宮司さんが印を付けてくださると良いのですが。
かわご石越え、かわご石山、かわご石沢についての記述はそのままにします。

2009/4/29 神籠石発見!
クエスチョンマークが取れました。

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