袈裟丸山南面の尾根

増田 宏 

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 前袈裟から南面に幾つか尾根が派生しており、山頂への登路にすることができる。登路として以下の尾根が考えられる。前袈裟から南東に派生し白倉沢と弓ノ手沢を分ける南東尾根、前袈裟から南西に派生し小中川本沢と下ノ滝沢を分ける南西尾根、南西尾根上部で南に派生し下ノ滝沢と弓ノ手沢を分ける南尾根などがある。いずれも林道小中西山線か小中新地線から尾根に取り付く。下部は笹や藪が繁って歩き難いが、途中から低い笹の尾根になり、前袈裟山頂まで快適な尾根の登高を楽しめる。
 南尾根は弓ノ手沢の橋の手前から取り付く。南西尾根は郡界尾根登山口方面に林道が回りこむ手前で小中川本沢を渡って取り付くと良い。いずれも 二時間半から三時間程度で前袈裟山頂に達する。笹藪が雪に埋まる残雪期が適期である。
 南東尾根は1312b三角点南の末端付近から取り付くか、林道が右岸支流を渡る橋付近から取り付くこともできるが、石楠花橋下流から車両進入禁止の作業道を辿ってヒライデ沢沿いに終点まで行き、尾根伝いに一七〇一標高点で南東尾根上に出るのが最も容易である。ツツジが多いため、最近は五月の開花時期に歩く人が多くなった。ここが山頂への最短路であり、積雪期には最も容易な登路となる。今年、2月上旬と6月上旬に登った記録を紹介する。
 石楠花橋から作業道に入る。入口には遮断器があり、車両は入れない。沢には新しい堰堤が幾つか築造されている。やがて作業道は沢を渡って尾根を越え、ヒライデ沢沿いになる。作業道の終点から左手の沢沿いに旧作業道が延びており、これを辿る。旧作業道は荒れてはいるが、沢の中を行くよりもずっと楽だ。旧作業道が沢を離れて右に回り込むとまもなく標高1450b付近で終点である。ここから笹の中を稜線に向かう。笹は膝下程度なので困難な藪漕ぎではない。ときどき目印が木に付いている。1711b標高点付近で南東尾根上に出る。ここから先は明瞭な踏跡が付いている。この登路は登りで迷うことはないが、下りの針路選定に注意が必要だ。1711b標高点で南東尾根から離れる地点が判り難い。積雪期は南面なので県界尾根登山道沿いより積雪が少ない。今年は積雪が少なく、旧作業道終点から上部は雪が軟らかく、同行者のスノシューでも潜るほどだった。前袈裟山頂の積雪は60〜70aであった。

 無雪期(6月上旬)
 石楠花橋(40分)作業道終点(20分)旧作業道終点(20分)南東尾根(40分)前袈裟(30分)南東尾根分岐(1時間10分)作業道終点 (30分)石楠花橋

 積雪期(2月上旬)
 石楠花橋(1時間)作業道終点(2時間20分)前袈裟(1時間10分)作業道終点(1時間)石楠花橋

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前袈裟南面(3月) 旧作業道入口
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1750b峰 南東尾根から前袈裟
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ヒライデ沢から作業道を行く 前袈裟頂上の積雪
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山頂付近のラッセル(2月) 南東尾根から山頂

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