むらさきやま。山に登ること、山を歩くことが生業でない限り、我々が山を歩く行為は物好きの所業であることは論を待ちません。であれば雨の日に山を歩くことを厭うものもありません。雨の日は山の風情が一層増して、なおかつその風情を一人占めできます。しっとりとした山の雰囲気に浸れます。

で、紫山です。両崖山のすぐ隣、西側にある山です。この山だけを目指す物好きもないでしょうが、4月下旬から5月中旬には山全体が紫色に染まるそうです。ムラサキヤシオなのか、ミツバツツジなのか、実花を見ても区別のつかない門外漢ですが、紫山と紫山から南にのびる尾根には躑躅が群生していました。
大岩町からは紫山だけ簡単に登ることが出来そうですが、西宮町からは志操堅固でない方には難しいコース取りになります。

桐生岩舟線を進み、足利市の通7丁目の信号を左折、すぐに左折して足利工業高校の先の西宮神社を駐車地にします。西宮神社の鳥居の先に駐車場の案内板が立っています。出発地は本経寺です。谷の奥に向かいます。本経寺の山門の右に未舗装の作業道があります。ここが天狗谷の入口です。以前は天狗山を示す道標があったのですが、失われてしまったようです。西宮沢の右岸を進みます。砂防堰堤を右に見て、やや荒れている道を行くと、危うい木の橋で沢を渉る地点に出るのですが、ちょっと命を預ける気にはなれません。沢床に降りて渡渉しました。道は左岸に変わります。綺麗な谷を歩く気分の良い道です。やがて谷を離れ、大きく折り返しながら尾根に向かうのですが、しっかりとした道形が続きます。
尾根には道標があり、両崖山と天狗山のちょうど中間点に出たようです。少し天狗山に寄った地点に大岩町を示す道標があります。辿ってきた道は峠道でもあるのでしょうか。
道標に従って両崖山方向に進みます。一投足の距離にある天狗山には見向きもしません。綺麗な尾根道を行き、空堀跡を越えると、いよいよ紫山の登りです。露岩の道はやや急登ですが、歩き易い道です。少々手強そうな岩場には巻き道もあります。振り返ると天狗山の下にはっきりと天狗岩が見えます。
岩稜(というほどのものでもありませんが)を登り詰めると小広い紫山の山頂です。山名標はありませんが、天狗山の会の告知がありました。つつじの頃に是非おいでくださいということです。私からも、お願いしておきます。山頂からつつじの中を南に下る尾根が伸びています。多少枝がかぶっていますが、踏み跡はしっかりとしています。辿っていくと、トラロープが張られ、通行止めになっています。ロープの先は急に落ち込んでいます。ここも空堀の跡なのでしょうか。
紫山に戻り、両崖山方向に進むと、大岩への分岐の手前がひどいことになっていました。山道一面ゴミで埋めつくされていす。どうしてこんなことが。
両崖山の下を通り、東屋にでると、このコースの終点です。両崖山には背を向けて関東ふれあいの道を下ります。二つの華々しい山に背を向けて歩くこのコース、辿ることができるでしょうか。

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