2月定例山行 * 代表幹事代行

*まずは地図をご覧ください。三角形だらけ。あまりに煩くなるので省いたものもいくつかあり、今回の山行、植木等のつき抜けた美声と、あの軽妙な動きを思い出しながら、「ホンダラ行進曲」で参ります。ご存じない方、生まれるのが遅れた方は残念ですが、時代の不幸と諦めてくださいまし。

冬になったら、と会長が前々から約束していた「桐生で一番(但し400m以下クラス)」の大展望の北森山へ。昔でんべい山のあたりで梅林を歩いたことがある、と代行があやふやな記憶を引っ張り出せば、カタクリはまだだろうか、と会長は季が狂ったような期待を述べます。で泉龍院に車を置き、出発地をでんべい山と決めますが、一体どこが登り口なのかふたりとも実は良く知らない。
うろうろと色んな方に聞き回りながら猪除けの網に沿ってカタクリ群生地に入ります。整備された観察道を辿り、左手の尾根道へ。ちょっと急ですが短時間でまずはでんべい山頂上。正面熊の沢山の斜面が切り払われて一本の道が見え、さっきまでうろついていた山道、思いきって薮を突破していたらあれに出られていたのにと、見晴らしのいいてっぺんでふたりで反省。右の方に見える高萩山かその下あたりから子供たちの声が聞こえ、今日は晴天無風の山日和です。
ロープのある急降下で東側へ下ります。すぐに赤松の混じる尾根通しの気持ちいい道が続き、行手にはぴょこぴょこといくつものピークが見え、左手には吾妻・鳴神の稜線の間に雪化粧の赤城が見える。

会長は北森山がお気に入りで、なんといっても眺めがいい、通りすがりのおじさんに薦められて甘い言葉が本当だったことはアレ(北森山/小友沢の頭)しかない、しかも代表幹事と一緒に名づけた名がそのままついて、桐生はほんにいい所だと絶賛です。HPの記事をしっかり持参して、そうそうそうとか納得しながら、読み直しつつ案内してくれます。代行だって幾度かに分けてですが、ここは歩いたことがあるのですが、この山筋の記念写真はたくさんあっても、色んな記憶とごっちゃになってどうも鮮明ではない。何十年も前の北八や雁坂峠や常念は昨日のことのように思い出せるのに、少し前が定かでなくなるのはひょっとして寄る年波のためでしょうか、それとも単に桐生が山だらけのためか、あるいは一期一会の心根がなかったためかもしれません。
道はいくつかのピークを過ぎ、桐生市基準点NO.84、熊の沢山へ。暖かいせいか浅間の真っ白な姿は柔らかに空に溶け、手前の稜線もほのかな靄がかかり、見下ろす町も今日は優しげです。

続く展望台から北森山への道、歩きやすさもいいですし、登る度に視界がどんどん高くなって過ぎて来たピーク達が見渡せるのもいい。けれどもなんといっても楽しいのは、ひとつ登り切ってもまだ先に、またもや登り切ってもまた先に、と次々に登るべき山が姿を見せるところです。ずっと展望が開けているので下りに最適な道と思っていましたが、なんの登る楽しさを満喫できる上るための道だと判りました。よく次々と山が続くのは苦労の謂いに使われますが、幼少の砌植木等という幸運に出会ったわたし達はそんな辛気くさいことは考えない。「ひとつ山越しゃホンダラッタホイホイ、もひとつ山越しホンダラッタホイホイ」です。
ほんだらほだらかと空目指して登り続け、吾妻山の向うに白い谷川が見えてきたら北森山到着。06年に代表幹事がかけた当会の看板が、もうすっかり文字も読めなくなって立ち木にくくり付けられています。白葉峠への稜線の向うに隣の町が広がりはじめ、赤城の裾野は長い。会長となんとはなしに頷き合い、僕たちもっと遠くまで行くもんねと看板を撫でて先に進みます。

尾根歩きはなんといっても開放感がある。広々した歩きやすい道と振り返れば見下ろす越えて来た山々とどんどん展ける視界。道の先には青空を切り取る行き着くべき天辺。岩混じりにますます登山道っぽくなる尾根を、快調に歩く会長の後に諧調を考えてカメラを構えた2mもの回腸をもつ怪鳥(海蝶といいたいけど)の如き代行が続き、487,7m峰到着。ここで昼食です。
途中撮り忘れた404m峰の基準点NO.88を撮って、展望台のノート(あにねこさんの直後になります)に一句書き入れ、雷電山を下るという案も出たのですが、少し先には登られたそうなピークがあるし、会長が前回の下りの面白さを思い出す。
検討の結果先へ進みます。三角点のある小友沢の頭528,4m。思い出した!ここの山名標は一昨年hisiyamaさんと三人で歩いた時に(鷹の巣)再設置したのだった。丸まるとしたどんぐりが散らばる季節、鞍部で長い時間風に吹かれていた快い記憶はありますが、さてあの時はどう降りたのか全く憶えていません。

ようし、思いきって前回同様抱きつき降りだい。会長が当HP最初の記事を振り回し、少し戻った鞍部から派生する尾根の急降下を開始します。代表幹事が何度も何度もお勧めしないと書いているように、当会は絶対にお勧めしません。テープは散見されますが、普通の山歩きの道ではない。山仕事の方、山菜採りの方、鹿の方、その他動物の方たちの通い路です。
さすがにこの下りはホンダララッタとはゆきません。いつもの悲鳴さえ出ないほど緊張して、一歩一歩黙々と降りる。そんなに長い時間ではありませんが、杉の幹に抱きついたり、ころころした鹿のフンが山ほど積もっているのに吃驚したり、野兎と出会って互いに驚いたり、おしまいの方では崖を伝って尻セードをしたり、杉の枯れ枝に埋まったりして小沢に降り着きます。渡ればすぐ山神宮。通りかかったおじさまがあらぬ所から下ってくる人間を見て目を丸くしていました。
○▲×※はあったかい?などと山菜専門用語で聞かれますが、そんなものが判るわけはありません。▽※●×の様子を確かめに来たそうですが、それがどんなものやら首を傾げる。では●□△%はどうだい?って、うわ〜ん、全くわかりませーん。ふたりの余りの無知さに山菜ライバルではないと判断したのか、おじさまが不思議な質問攻めから解放してくれたので、林道を黒川ダムを過ぎて泉龍院までてくてくと四方山話をしながら歩きます。

途中八坂神社や貴船神社にお寄りして、野原の中で新たな青面金剛や聖観音を発見。泉龍院で植木等フリークだった代表幹事のお墓に参り、もうすぐ一年。長いのか短いのかよくわからない嘘のような時間が経って、桐生の山にはほんの少し詳しくなりつつあり、できることならこのHPにもういくつかの道をつけ加えたいと思っています。

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