烏帽子岳(阿蘇五岳)

*2014.10.17
さて杵島岳から草千里に降り立って烏帽子岳は草原を時計回りに歩きます。入口は観光客で溢れていますが少し歩けばもう誰もいなくなって、丈の短い枯れ萱の中を道なりに緩やかにカーブ。左手斜め後ろには中岳と火口がけっこう近く、さてもし噴火したらこっちに転がって頭を守って、と脳内シミュレーションをしてみますが、もしほんとにそんなことになったら筆者はやはりぽかんと眺めているだけのような気がします。

平らだった草原から緑濃い灌木の斜面に取りつけば、おやこれはけっこう急ではありませんか。道は水流で深く抉れて石がごろごろ、振り向いて眺めるさっきまでいた杵島岳とは全く様相の違う道です。
尾根に乗り上げるまでは手すりがあったり階段状に刻まれた場所もあり山腹を小さく巻きつつ歩きますが、主尾根に着いてからはほぼ直登。両側はこれがミヤマキリシマかしら、ツツジの灌木の中を細い山道が真直ぐに続き、傾斜が急な所には段の大きな木枠の階段が。短足の筆者泣かせです。
一箇所ある平らに開けた地点には先行の一団がいらして賑やか。狂い咲きのピンクのツツジを愛でて休まず天辺を目指します。

下から見たときはさして高くは見えませんでしたが歩いてみると一気に高度が上がる感じで、ちょうど正面に回った太陽に照らされながら暫く息を荒くして黙々と足を進めます。
と、回りは萱原になりおおもう前には空しかないじゃないか。手前の案内柱がある小ピーク到着。暫し息を整えます。真下に歩いて来た草原の道と休止中のロープウェイの駅、その向こうに火口と中岳。いい眺めで風も快い。
そこからほぼ平らな道を少し進めば三角点と展望板のある天辺。こちらでは三々五々ハイカーさんが座り込んでお弁当を広げたり、眺めを楽しんでらっしゃる。筆者もぺたんと座って眺望を満喫。草千里の池が空の青を写して美しい。幸せ♡
小さなビールを開けて途中からずっと付いて来た赤茶の蝶と乾杯です。

小一時間風に吹かれている内に周りの人は入れ替わり、やはり地元の方が多い、九州訛りにぼんやり耳を傾ければ旅情も湧いてなかなかに去り難い。機会があればどうぞ一度歩いてみてください、素敵な山でした。
下りは天辺から左へ。白っぽい野菊の咲き乱れる芒と草原の道です。これから辿る山道がずっと見えて、草千里は淡い緑にふたつの池、心も足も躍ります。振り返れば烏帽子岳はあっという間に高くなって、いつもそうだけど帰り道に眺める山は切ないような、哀しいような。
道は二度ほど牧場の柵を潜り、口笛を吹いて足まかせに歩いているうちにすぐ右手に池が近づいてきます。そのあちらに噴煙が真直ぐ空に溶け、もう一度振り返ればさっきまで座っていた山頂はもう遠くにあって、う〜む、もう見ることはない景色なんだと思ってちょっとセンチメンタル。いや、柄ではありませんけどね。

後はバスに乗って阿蘇駅へと。
車中は満員、スペイン語と英語と中国語と韓国語でなかなかに賑やかでした。ビバジャパン!

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草千里からの登山口
草原の中を気持ちよく歩く
振り返ると杵島岳が
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烏帽子岳の天辺はあそこ 灌木の中を急登する あとは空ばかり
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手前のピークから中岳と火口 烏帽子岳頂上
草千里を見ながら下る
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気持ちのいい道が続く
草千里の池と噴煙
振り返る・さらば烏帽子岳

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