富士山(ふじやま)

*本家の富士山が世界遺産になった余波で注目されているご当地富士山。渡良瀬川右岸のここは本来の名は浅間山、あるいは不二山らしいのですが、上電が富士山下駅という駅名ですから現在は富士山(ふじやま)と表記するのが正しいのでしょう。かつては相生村で一番高い山だったそうで(ん?今も相生町で一番高いんじゃないかしら?)、頂上にはしっかりした浅間さまの石祠があり、七月、地元の方たちが太鼓を打ち鳴らしてけっこう派手にお祭りをする、と「桐生市ことがら事典」にあります。

まず作法通り(?)上毛電鉄の西桐生駅から出発。鮮やかな青と黄色の電車は中も青く塗られ天井にも窓にも魚が泳いでいて吃驚@-@。今年の春から走っている水族館電車で鮫もジョーズに描いてあるよ〜、と思ったらシールだそうです。海なし県の子どもたちへの教育的配慮なのかしら。換気扇を巡る秋刀魚の群れを見ていたら今夜のおかずが決まりました。

ふた駅目の富士山下で下車、170円です。
駅を出て舗装道を渡った正面が登山口。民家の並ぶ階段の脇に案内板があります。登り出しに壹合目の石柱、山の斜面は何段か小広い場所が切ってあって、道の分岐した先に高尾山と彫られた自然石の石塔。でも基本的には木枠の広くて歩きやすい階段を辿り、すぐに七合目の石柱、その先の広場に石祠、これが琴平さまではないかしら。そのすぐ先の突き当たりに彫目の薄れた御嶽座王大権現の丸っこい石。
左にカーブする階段を登って着く広場には祭事のものを納めてあるらしきがっしりした建物があって、その側にはやたら立派な紀元二千六百年の記念碑があり、それに隠れるように可愛い自然石が、これは身禄さまでしょうか、文字は見えませんが由緒ありげに祀ってあります。ここには二基ベンチがあって、八王子丘陵や鹿田丘陵の眺めがいい。

左斜面に進路を取って自然石の目立つ急登をほんの少しで、大きな浅間さまの祠が待つ頂上です。転落防止の柵に山名と高度が示してあり、祠の横の大木に梵天が上がっていました。この小さな富士山はお祀りしてある石が多くて、七月の山開きでは参拝者は斜面を巡回してたくさんの石祠に挨拶して回るそうです。ことがら事典には七つあるのだけどいくつか見落としてしまいました。
天辺からは北に吾妻山がなかなか険しく見え、西側は樹間に渡良瀬川の蛇行と川内・大間々を分ける山稜の始まりや、遠くに赤城山が臨めます。川の瀬音が上がってきて、風が吹けばぱらぱらと木の実の落ちる音、思い出したように鳴る上電の踏切の音もなかなか趣があります。
全山自然林で、この季節、麓から頂上までびっしりとどんぐりに覆われていて、筆者がもし栗鼠だったら絶対この山に住み着く所存。きっと丸々と太れるでしょう。

帰りは折角のいいお天気、ゆるゆると空など見上げながら、道は何本かありますので足の向くまま下りましょう。お時間があれば赤岩橋を渡って対岸の丸山もぜひ。

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上毛電鉄西桐生駅
青と黄色の電車
中は水族館
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富士山下駅
登り口標識
歩きいい階段
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高尾山
琴平さま?
御嶽座王大権現
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途中の広場から八王子丘陵
頂上の浅間社
柵に標高と山名
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見下ろす渡良瀬川
樹間に赤城山
吾妻山、なかなか険しい

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