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*雨の降る日の山登り、のつもりで代表幹事のリストにリンクがない田沼町閑馬の庚申山へ。傘をさして歩くことになると決めてあれここれ用意していたのに、天気予報ははずれて一気に気温が上がり、温気むんむん湿度はきっと100%。こんな日にはサンダルでと代表幹事の真似をしたら、基本的に赤土の山頂への真っ直ぐな道、滑るし汚れるし虫に喰われるし、やはり良い子のみなさんは靴を履いて登りましょう。

66号田沼線の佐野市健康保険新合診療所の看板が見えたら山の方角に向かいます。水田の向うにすぐなだらかに、でもいかにも暑苦しく緑を茂らせて姿を見せるのが閑馬庚申山。この田沼地区には辻や村落の境界にではなく、山全体に庚申塔を祀った場所が多く、これは桐生ではあまり目にしない風景です。ここも入口に大きな自然石に庚申山と彫られた石塔、その隣には千躰庚申山入口なる石柱が建ち、年号は天保10年(1839)とあり、山中に散らばる庚申塔もほとんどがその年号。山道の両側に並ぶ数えきれないほどの庚申と彫られた石の数を思うと、この年この山が庚申山になって、近隣の庚申信仰が一気に集まったような趣です。

草や枝に覆われてはいても歩きやすい固い道は途中にある貯水施設まで。そこからは薮っぽい細い道で、まあこんな季節にこの山へ登る物好きはそんなにはいないはず、濃い緑をかき分けかき分け直登すればいくらか開けた頂上です。ここに唯一の青面金剛の石像があり、怒髪の頭が大きい姿はなかなか迫力があります。
 すぐそばに線彫りの金剛像があり、踏まれている鬼や左手で掴まれているショケラがなかなかリアルで面白い。ひとつで百体と刻まれ、他にも千庚申と刻まれたものもあり、さてこの山全体に庚申さまはいくつあることになるのか。
 江戸後期のものなので文字塔にも三猿が彫られているものが多く、それぞれ個性があって見比べると面白い。石塔、石像のほかは展望は全くなく、風も通らないてっぺんですがなかなか楽しめました。

帰路は反対側の尾根を辿ります。踏み跡は途中で途切れますが、すぐ下からは絶え間なく車の音がして、細い杉が林立する斜面を強行突破すれば明るい作業道に。こちら側には庚申塔の類いは皆無。表参道だけの山です。

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