荒神山(天神町)

*ここしばらく下から見てとても気になっていた天神町の荒神山。山の半分が伐採されて、小さな山ですからなにかもう痛ましく、三宝荒神社からの斜面の桜が満開になっているのでそちら側から様子を見に歩いてきました。

高山彦九郎の「忍山湯旅の記」に「百四十一」と書かれた階段はもうありませんが、その階段が始まる当時の前殿が現在の三宝荒神社で、11月には火渡りやお神楽・八木節などが奉納される賑やかなお祭りが続いています。かつて長い階段があった斜面には幾年か前に枝垂桜が植えられ、小さかった桜はもう大きく育ってこの季節は山の東斜面を花色に染めるようになりました。
お祭りの時だけに使われるのでしょうか、ジグザグに切られた踏み跡は萌え出る緑に隠れてしまう個所もあり崩れやすくもありますが、かつての本殿があった礎石が残る小平地まではしっかりと辿れます。跡地のぐるりを枝垂桜が囲んで、ここから見る雨降山は花の額に収まってなかなか立派。

ここからは道形が判らなくなってとりあえずすぐ横の尾根に薮こぎの真似事をして出てみました。と、右手一面、山頂に向かっての斜面、どちらもまだ切株の新しい伐採地!稜線を辿ればすぐ天辺に着きそうですがすぐ下の、この伐採のためらしき作業道に倒してあるたくさんの木を跨ぎ越えて降りてみます。
乾いた道は主尾根をぐるりと北から南へ回って、遮る樹木がないので見晴らしは抜群。吾妻山から萱野山を経て大形山へと続く稜線も正面の八王子丘陵も桐生川の向こうの観音山から雨降山への稜線もぽかんとした空にくっきりとして、なんだか荒涼としたような、開放感があるような。
作業道は愛宕山との山道でぷっつり切れ、左の山頂へ向かえば樹木のある東斜面に山ツツジが濃いピンクや朱色を見せて、その先にぽつんと頼りなげに雷電さまの石祠。祠の後には吾妻ー鳴神の稜線が延々と続き、まだ桜色の城山の向こうには根本山らしき影が霞みます。この天辺がこんなに見晴らしがいいなんて勿論初めての景観でとても不思議な気分。

座り込んで煙草などふかして、この後伐採地がどうなるのか猫頭を捻り(まさか全部伐るってことは…)、天辺の神さまができるだけ静かに過ごせるよう祈って、帰りは東の稜線を悪戦苦闘しながら桜の小平地まで戻りました。
本日の損害:新しい春セーター、あちこち引っかけてもう着れなくなったこと(しくしく)。代表幹事が山を歩くようになってからセーターを着なくなったのがやっと理解できました。

※三宝荒神社の参道下にはこの当りでは珍しい「岐大神」と刻まれた石宮があります。岐は「ちわき」あるいは「ちわく」と読み道行くひとを守る神だとか。高山彦九郎も守ってもらえたのかな。
※そういえば、これと一緒に代表幹事が紹介していた勘九郎稲荷(おじょうどん)がなくなっていました。どこかにちゃんと安置されていればいいのだけれど。

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どうしたんだ荒神山
三宝荒神社から
枝垂桜の斜面を登る
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振り返れば雨降山 稜線から向こうは荒涼 作業道を辿って山頂へ
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見晴らしはいい 東斜面は山ツツジ爛漫 ぽつんと雷電石祠

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