9月定例山行 代表幹事代行 

山下りといえば正月箱根の駅伝2日目、ほろ酔いでTVを眺めてはうとうとする素敵に自堕落な時間が好き。けれどもそれよりずっと駒ヶ岳から下る道、好きです。ここは間違っても急いで降りてはいけません。足元なんか見てはいけません。緩やかな短い距離です。一歩一歩おおとか、ああとか、心に呟きながらまなざしを遠くに、水天彷彿ならぬ地天彷彿を愛でましょう。もし足元を見ないで転んでも強い子は泣かない。

楚巒山楽会は秋晴れのもと、9月定例登山を敢行。初代会長は大山の麓に帰省中で、こんないい日、きっと大山を逍遥しているに違いない。会長と代行だって負けてられません。桐生の里山はまだ薮期なので今月も赤城をめざします。
混雑を予想していた空っ風街道、対向車と対向バイクには何台か会いましたが、前後に車の姿は一度も見ませんでした。道の両側雑草がのさばってます。時間も短縮されるし、信号はないし、大間々方面から赤城に向かう人はもっと使えばいいのにと思います。

大沼の商店街そばに駒ヶ岳・黒檜山の登山口。休日なのですぐ前の工事現場に駐車。石混じりのしっかりした道をジグザグに、途中長い鉄の階段が2カ所あり、尾根までは急登です。
登山人口は増加中と聞いてはいましたが、どうせ若い頃にやっていた中高年が増えたんだろうと思っていたら、なんと、前からも後からも元気のいい若いにーちゃんねーちゃんのグループやカップル、男子高校生の一団やお嬢さんだけのグループも続々と現われ、勿論礼儀正しい楚巒山楽会、みなさんににこやかに道を譲ります。特に後から来た方には喜んで譲ります。

ダケカンバや漆が色づき始め、ちょいと見下ろせば大沼や覚満淵が空を写して青く輝き、派手な赤城神社も遠望すれば可愛い。
軽く汗ばむ頃尾根に到達、ちょっとした広場になってて、視界が一気に広がります。特に東側、大間々と桐生の境の山並み、赤芝山脈、鳴神山脈、菱の山並み、仙人岳、足利の山並みが濃淡様々に重なりあい、根本や野峰など、地元の人より詳しくなっている会長が楽しそうに説明してくれる。入れば深い八王子丘陵が余りにちんまりしているので驚きます。
尾根を辿って駒ヶ岳への道で上から来る人がわぁとか、おおとか言っても、黒檜山をめざす人以外は振り返ってはいけない。ってほとんどみなさん黒檜山へ行かれるのですが、楚巒山楽会は一日一山、二つ登るなんて貧乏臭いことは致しません。下るための山行なのですから、振り返るのはじっと我慢。

駒ヶ岳山頂はそんなに広くなく次々と両方向から人が現れ賑やかです。さすが山頂、強い風が時々吹く。余り長く場所を塞いでいては悪いのでそそくさとお昼を済ませ、さて待望の山下り。笹に覆われた緩やかな道や木の階段をゆっくりと降ります。眼下一望関東平野が広がり秩父の山、西上州の山、妙義や榛名、正面には小沼の向うに富士山が。地平線が明るく霞み、山の輪郭が空と溶け合い、気持ちが解き放たれる。代表幹事がここが赤城一の下りだと言ってましたが、深く深く同意。もっと美しい眺めも勿論あるでしょうが、平野部から屹立する高い山からの眺めは一種独特です。
たっぷり時間をかけて尾根筋を楽しみ、最初の広場でまたもや大休止。熟睡した年配のご主人にそっと上着をかける奥さまの姿が微笑ましい。山での昼寝が大好きな会長はうらやましそうです。もうあれだね、がむしゃらに天辺を目指す山登りじゃなくふらふらと知らない山道を彷徨うような山登りがしたいね、なんて日頃の不調をコンドロイチンで補う会長と合意。昔々は24時間山を歩いたり、毎日毎日代表幹事と飲み歩いていた若いにーちゃんもいよいよ枯れてきて、光陰矢の如し。
どうもこの頃は場と共に時を歩いている気がします。赤城大明神のかつてあった跡地に寄り、苔むした神橋を眺めたり、大沼の水辺に初めて降りたり、ゆったりしたいい山行でした。

楚巒山楽会トップへ やまの町 桐生トップへ

inserted by FC2 system