三床山

*代表幹事は山と名がつけばお相撲さんの頭にも登る所存 なんて言ってたのでこのHPを続ける限りは筆者も桜が咲くという頭山にだって登るつもりでいる今日この頃。で、お相撲さんといえば床山さん、佐野・田沼にはネットで評判の名里山、三床山(みとこやま)というのがあるそうな。代表幹事がまだ記事にしていなかったこの床山を三→二→一と周回して参りました。

今は佐野市になった田沼町戸奈良の庚申山の、切り取られた岩壁を右に見て、細い鋪装道を進むと正面に三床山のぽこぽこした可愛い稜線が見えてきます。突き当たりに鹿島神社があり、必ずお寄りになって、不思議な狛犬と本殿に施された獅子や龍などの彩色をご覧になるべし。鄙には稀な美しい神社です。
神社に向かって左側に延びる作業道をしばらく進むと三床山への出尾根登山道の標識が。このコース、要所要所にしっかりした道標があって、たぶん有志の方の手造りではないかと思うのですが、ほんとうに有り難い。ついでに熊さん注意の貼紙もあり、安蘇の山は複雑に尾根を連ねているのでこんな里近くにもときどき出没するのでしょう、ひとりで歩く方は音が出るものを用意した方がいいかもしれません。あにねこさん、桐生みどりさんと筆者の一行は、姦しい人間がひとり(特に名を秘す)加わっているので今回は鈴は使いませんでしたが。

寒さの厳しい二月なのに登り出しは緑が豊かです。よく手入れされた歩きやすい道の両側には常緑の灌木が丈低く密生していて、緩やかに高度を上げます。道はすぐ杉の植林地に入り、振り返れば下のゴルフ場やその向こうの唐沢山の山並みが樹間に長閑に覗いて、危惧していたほど冷たい日にはならなそう。正面目前に目指す三床山がだんだん大きく聳えて見えてきます。
この短い杉林を抜けると傾斜は一気に急になり、細い枯木ばかりの雑木の間に露岩が目立ち始め、それまで”みとことこ”なんて浮かれていた筆者はだんだん無口に。小石混じりのざらっぽい道は細かく稲妻型に切られていて、この山、ほんとうに最近になって注目され出したらしくて道もまだ若い感じがします。

神妙にしばらく息を喘がせて着く岩場の上は展望がいい。関東平野が柔らかく霞んで、首を巡らす赤城山には珍しく雲ひとつかかっておらず、桐生の山並みもはっきりと浮かび上がり、歩いた山が名指せる喜びに浸ります。
何という石なのかしら、だんだん紫が濃くなる斜面をもうひと登りで三床山山頂。三角点と石祠が三つ。南北に長い静かな天辺です。石祠はそれぞれ向きが違い、その方角の集落ごとに神さまを祀っているわけで、これを運び上げるは江戸期の小さな共同体の一種の公共事業ではなかったのか、なんて三人で推論しながら小休止。真下のゴルフ場の池の細かなさざ波まで見えて、平野部最初の高まりの眺めをゆっくり楽しみます。

一服の後少し戻り、標識に従って二床山への稜線を急降下。下り着く鞍部からは鹿島神社へ下る谷コースがあり、この後も岐路がたくさんあっていろんなアプローチができる山。代表幹事ならきっと一、二、三とひと山ずつ律義に登って記事にしたに違いありません。
稜線は枯れ枝の間からの遠望を楽しんだり、次々に現われる岩のピークによじ登ったり(これは桐生みどりさん限定)、屈曲する岩盤の断面に感心したりしながら小さくアップダウンを繰り返し、日影には雪の残る場所もあって実に変化に富んでいます。目で辿れば三床から二床への尾根は、神社の手前から見た可愛い姿とは打って変わってなかなか険しい岩稜で、下界さえ見なければまるで本格的な山岳を歩いているようで嬉しい。

二床山からは高松への尾根が延びていて気を惹かれますが、お腹を空かせた一同は今回はこの尾根を宿題にしてお昼の予定地一床山へ急ぎます。時々現われる大きな露岩を巻いてよく踏まれた明るい尾根道は緩やかに続き、風も弱いし空は真青で、山を歩く喜びと開放感の溢れる気持ちの良さに足取りが弾む。
樹木がなくなり岩場を少し登れば一床山山頂!360°ぐるりと展望が開けて思わず歓声をあげてしまいます。手前ぐるりにくっきりと安蘇の山々、外側に墨絵のように浮かぶ幾重もの山並み、そのまた向こうに雪を冠った浅間、八ヶ岳、赤城、袈裟丸から足尾の山、男体山が聳える日光の山並み、真っ白な日光白根も見え、空に溶けそうに微かに浮かぶ筑波山も見えてしばらく空腹を忘れて数え上げ指さし合う。この天辺を色んなサイトでみなさんが口を揃えて誉めているのも宜なるかな。
誰か来たら退きましょうと言い合って、余り広くない山頂に座り込んで大休止。あれこれひとの美味しいものに手を出し、立てば風がいくらか冷たいけれど小さくなっている限り麗らかな陽射し、おひとりだけ通り過ぎて行かれましたが静かな時間、長々と日向ぼっこを楽しみました。

ここから道標に従って下山。余り急なところはなく、代表幹事が好みそうな松の目立つ長い尾根道を、どの山に登っても帰るときは名残惜しい、何度も何度も振り返り、下るごとに周囲がまた緑を濃くしてくれば山塊はどんどん可愛らしくなって、それにしても沢入の滝も高松も金明院の石祠も見ていない。絶対にもう一度行きたい大花丸の山です。

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三床山(右端)山稜
こ、これは…(笑)
熊さん注意
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登り出しは緑が濃い
急な登りが続く
岩場の展望を楽しむメンバー
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三角点と石祠
頂上看板
鞍部まで急降下
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日影の斑雪
三床山と岩稜(あそこを歩いた)
二床山看板
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赤城山・黒檜に雲はない
明るい尾根道
露岩を越えて
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一床山頂上看板
男体山と日光の山が白い
遠く浅間山と榛名が霞む
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関東平野一望
二床山から高松を振り返る
素敵な尾根道を下る

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