梅田忠霊塔〜三峰山

*梅田の忠霊塔を出発点に。あにねこさん、桐生みどりさんご夫婦、代行の四人。なかなか賑やかなメンバーなので熊とハンターはきっと遠くからでも気づいてくれるに違いない。駐車場は忠霊塔直下にはありません。高沢川沿いか桐生川沿いの空地へこそっと停めます。
忠霊塔は今は忘れ去られているのか右手の納骨堂らしき古風な建物は屋根が壊れ、扉の閂も錆び付いています。塔の左手の竹薮に突撃。足元はしっかり踏まれた道ですが、如何せん、歩くひとが少ないせいか細い篠竹と背の低い灌木がちょうど胸から目の辺りに枝や葉を張り、藪山嫌いの桐生みどりさんが早速後で悲鳴を上げる。高い峯の長時間歩きや、怖いような崖に比べれば里山の薮などものの数ではないと思うのですが、そこはひとそれぞれ、ひいとかひゃあとか言う達人を引き離し、代行は登り始めだけは気分は颯爽。

登り出してすぐ、右手に小さく開けた場所に山神さまの石祠がふたつ。ほんとは三つ並んでいたようですが、右端のものは落ちたのか、屋根だけが落葉に埋まっていました。
けっこう急な尾根筋は身を屈めたり、小枝を押さえたり、楽々と登るはずが淡々とした登り一方の道に早速息を切らすうち三角点発見。340,6m、栗生山山頂です。振り返れば青空を背景に仙人岳への稜線が延び、行手には木々の向うに鳴神への稜線が赤と緑に交互に彩られて見え隠れしています。少し色褪せてきた紅葉を見上げれば晩秋の風が少し冷たい。

少し下ってまた急な緩みない登りを延々と登り、小ピークをふたつ越え、雑木の登りをもう代行は一番後をよろよろと進んで494mのピーク。他のお三方はさすが少しも疲れが見えない。
おなじみR・Kさんの看板が迎えてくれます。ここで論理矛盾だと言われながら「ちょっと大休止」。暖かい陽射しが降り注ぐ、落葉に埋まった山頂です。行手にはまだ遠く高く鳴神の縦走路が見えています。このピーク、きっと立派な名前があるはず。すぐ下が阿陀窪と呼ばれ、金沢林道から岐れる林道が直下まできているらしい。阿陀窪山、山頂に「窪」がついちゃおかしいかしら。

地図上ではそんなに急だとは思わなかったのに、やはり本の通りの急登続き。登路には勧めないと書いてあったけど、落葉期は下山路にしても滑りまくりそうな気がします。ここからの道は片側に大きな杉が整然と並び、木が見えなくても年輪の詰まった切り株が続き、ここが参道だったのではないかとみんなで言い合う。
ごつごつした崖の上に妙見さまのお宮が登場。妙見さまといえば北極星、北斗七星。道教の天帝が基の、奈良時代からある信仰です。お宮の台座に村内安全と刻まれ、南を向いて、どっしりした屋根。この「村」は金沢の集落のことかもしれません。家内安全ではなく村そのものの安全をお願いするなんて、今は失われた麗しい共同体意識です。お宮の側面には右に亀、左に蛇が刻まれ、これが玄武、すなわち北斗のこと。また、この辺の岩はチャートで湾曲が鮮明に見える。少し朱が残るお宮を囲んで桐生みどりさんとあにねこさんを先生に、にわか山“学”に励みます。役に立つとか立たないの前に、いつまで記憶しているかは別に、知識が増えるのは楽しい。

ここからの尾根道で熊の糞発見。つつき回してみればまだ水分の残る新しそうなものです。初めて見たので下に写真UP。ひとりならこんなことはできません。
大きな岩を2度越えて(一カ所は巻道あり)三峰の奥の院といわれる石祠に到着。真っ白な幣束が上がっていてまだ信仰は残っているようです。

この後最後の、それはそれは凄い急登で三峰山山頂へ。
大山祇命と言われている石像は実は御嶽山大権現ではないか、下にある首の落ちた石像が三笠山大神で、烏天狗の下の石像は八海山大神ではないか。この2点を確かめるため桐生みどりさんご夫婦は前日も大崩からここに登っていて(こちらは山野研の報告を)、観音さまも発見したそうで(こちらは次のお楽しみ)、三十六童子から首のない神像まで歩きます。どなたか碑を綺麗にしてくださってて、童子碑もふたつ新たに読めました。首の見つからない像も右手に弓、左手に金剛鈴を持っていることを確認。ごそごそ歩き回って首を探しましたが発見に至らず。
昔のひとの信仰心に誘われて色々調べたり、歩き回ったりするのも楽しいものですし、新しい発見や仮説を立てるのも喜びだと思う。
そういえば下の岩屋の不動明王がいらっしゃる場所は「清浄の滝」と既に名づけられていることも知りました。観音さま→八海山大神→烏天狗に至るコース、今は薮だらけですが行のための登路があったことも判りました。

金沢峠までの稜線から少し外れた628,8mピークが桐生市の1/10000の全図や、1/2500白地図で三峰山と記載されているので、薮を掻き分け探索してみましたが、これは地図の間違いでしょう。小広いちょっといい頂上でしたが、たまには誰かが歩いたのか、印のテープ以外は何も発見できませんでした。

2週続けての金沢峠を下り、大黒尾根への石祠2基が二カ所あるのを見たり、巳待ち講の石塔を見つけたり、充実感のある面白い一日でした。

(代表幹事代行)

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