てらくぼやま。別名不動山です。平成の大合併の前は佐野市の最高峰でしたが、今は旧田沼町の熊鷹山(1168.6m)にその座を譲っています。最高峰ではなくなっても寺久保山の持つ魅力には何ら変わりはなく、荒れたハイキングコースが絶好のスパイスになり、変化に富んだ楽しい尾根歩きができる格好の山になっています。

掲載する写真の枚数が多くなりましたので、雷電山山頂からのご案内とします。雷電山の山頂には朽ちた道標がありました。前回登った際には気付かなかったものです。山頂から北に向かいます。南の観音坂に下る尾根はきれいな尾根ですが、寺久保山への尾根は若干薮がかぶっています。薮を通り抜けると倒木が数えきれない程あり、薮がかぶり気味の雑木の尾根道が寺久保山まで続きます。
佐野市観光協会のHPに“倒木等にご注意下さい。案内標識も少ないため、上級者向けとなっております。”と朱書きされている通りの惨状ですが、これくらいなら迷うことなく歩けます。野趣を感じさせるコースです。正しいコースには立木にテープが巻かれています。寺久保山手前の露岩のピークでは、顔を巡らして浅間山と富士山に加えて筑波山の展望を楽しめます。
展望岩を過ぎ、右に不動の滝への分岐をわけると広々とした寺久保山の山頂です。展望には事欠きますが、宴会をするには充分の広さです。砦か山城があったようです。
寺久保山から般若峠に向かうと北側の展望が一気に開けます。男体山が秀麗な山容を見せてくれます。下って登る340mピークの山頂には朽ちた道標の柱が残されています。この先の見晴台がこのコースのハイライト。新宿、池袋のビル群の遠望に加えて、ここでも富士山と筑波山が前山の向こうに姿を現わしています。
見晴台は岩場で、行き止まりのようですが、下を見るとロープが張られています。岩稜の下りですが、足を置く場所、手をかける場所、時には尻を置く場所が豊富にありますから、ロープに頼らなくても問題ないと思います。岩のブリッジまで下ると雑木と常緑樹の尾根になり、松葉山の上の249mピークを正面に倒木を跨いだり、潜ったりしながらの尾根歩きです。下り切った、般若峠には道標がなく、テープを頼りに出発地に下ってゆきます。道の悪さもここからがハイライト。溝状の山道の上に倒木が覆いかぶさっています。頭を高くしては歩けません。ま、手入れされていないハイキングコースを歩く楽しみは、こんな所にありますが。この周回コース楚巒山楽会のイチオシにします。般若峠もいつか越えてみたい。逆コースは全くお勧めできません。蓋をされた塹壕歩きで心が折れること請け合いです。先憂後楽を人生の指針とされている志操堅固の方なら大丈夫でしょうが。

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