極楽とんぼさんが、最後に辿ったであろう道筋を歩いてきました。道と書きましたが、尾根上には踏み跡はありません。尾根を横切る獣の足跡のみ認められました。極楽とんぼさんらしいハイカーが当日、柳原の奥のショウブ沢方面に向かったという目撃談もあるのですが、所持されていた二万五千図のコピーには金比羅山からの尾根に線が書き込まれていました。
参加者は、極楽とんぼさんの奥様、奥様のご友人、hisiyamaさん、私の4名でした。途中の尾根のカルスト地形では極楽とんぼさんがハンマーで割った石灰石と所持していたザックの中にあった石灰石がほぼ一致したのを確認しました。
発見現場へは、手前からトラバースしていったのですが、急な斜面、倒木、薮、崩れ易い足元等々で、散々でした。現場から見上げると転落地点が遥か上方に感じられました。五体満足でも、とても登り返す力、勇気が出ない程、絶望的な斜度と高さです。
から身で、ここに転落してしまった謎が残っています。転落地点で、ザックをおろし、帽子を取り、眼鏡を外し、手袋を脱いで、一息入れたのは想像できます。石灰石を採取し、急な斜面を登り上げ、あと一登りか二登りで、主稜線に出られる、振り返ると赤城山が見える。形としては大休止をとったのでしょう。
痩せ尾根とはいえ、転落するには何歩か踏み出さなければなりません。ザックは尾根の中央におかれていました。谷方向に何か興味を抱かせるものがあったとしても、眼鏡をかけず、ステッキを持たずにそちらに行くでしょうか。持病の心臓の発作に襲われたのでしょうか。獣に驚いたのでしょうか。

金比羅山からの尾根筋は、何カ所か超のつく急登がありましたが、落葉期限定で篤志家なら歩けそうです。決して無理なコース取りではなかったということが確認できました。極楽とんぼさん好みの尾根でした。単独行でさえなかったらと思いました。残念。
2008年の4月27日に、ちょっとした慰霊碑をおいてきたいと思っています。

カルスト地形について…山口県の秋吉台が有名です。石灰岩が侵食によって地表に現れる地形で、ユーゴスラビアのカルスト地方にその典型があることからカルストと呼ばれる。と。

inserted by FC2 system