雨の日の山歩きはそれほど嫌いではありません。わぁ〜い、雨だ、山登りをしようとは思わないので、積極的に雨の日の山歩きが好きとはいえませんが。ま、雨の似合う山なら歩いてみようかなと。

雨の似合う山、先ず浮かんでくるのが、北八ツかなぁ。麦草峠あたり。しっとりと水を含んだコケに覆われた山道をとぼとぼと、聞こえるのは傘にあたる雨の音だけ。あと、どこだろう。雲取山から七ツ石、大菩薩の丸川峠なんかは、雨の日に歩きたいんじゃなくて、雨の日でも歩く気になる山ということですが。

赤城神社から櫃石のコースも雨の降っている日に歩きました。傘をさして。もちろんサンダルで。ただ、ただ、単調な道程でした。わかりやすい道で淡々と歩いていると、いろいろ思念が浮かんでは消えます。明治の文豪は、山道を歩きながら、色々思案して、智に働いてみたり、情に棹さしてみたりして兎角にこの世は住み難いと結論づけましたが、我々の方も色々考えます。それは考えます。晩ご飯のおかずは何かとか、お仕事の言い訳とか、晩ご飯のおかずは何かとか、考えだすともう大変です。

国道353号線で三夜沢の信号を右折して赤城神社に向かいます。神社の西側、中丸林道沿いに広い駐車場があります。櫃石へは神社の奥のたわら杉の脇の道標から山道に入ります。たわら杉は藤原秀郷、別名俵藤太秀郷が寄進したと伝えられています。始めは細い道で雨に濡れた草でズボンが濡れますが、三夜沢のブナのあたりからは道は広くなり、櫃石まで濡れることはありませんでした。たわら杉の道標が櫃石まで1500mでしたが、ブナの巨木を過ぎ、結構歩いたと思われる場所の道標が、櫃石まで1300m。え〜っと思いながら、舗装の朽ちかけた少し急な登りを進みます。大きな岩が見えてきて、上に石祠が確認できます。広い道なので傘はさしたままで歩けます。道路標識が何カ所か残っているのですが、この道は何のための道なのでしょうか。以前は林道だったのでしょうか。だらだらと登ってゆくと、二股の分岐に道標があります。櫃石は左に500m。また、え〜っです。もう着いてもいいのに。まだ500m。でもこの最後の500mが気持ち良く歩ける山道でした。櫃石の手前の斜面ではギンリョウソウの小群落にも出会えました。が〜っと一直線に登り、曲ってまた、が〜っと登る道でしたが、この最後の500mはまた歩きにきてもいいかなと思えました。

で、櫃石です。前橋市のHPでは“櫃石は赤城山荒山の中腹にある小峰の頂上(標高877.9m)に位置する古墳時代中期(5世紀後半から6世紀前半)の祭祀遺跡です。長径4.7m・短径2.7m・高さ2.8mほどの巨石を中心として周囲にも径1から2mほどの自然石が見られます。巨石の周辺からは滑石製模造品や手捏ね土器などの祭祀遺物が採集されています。 ”と書かれています。手捏ねは手こねですね。手づくねと書かれているHPもあって、正しい表記なのですが、平仮名で書かれるとどんなものか想像がつきませんでした。漢字か手捏ねでお願いしたい。

読んで頂けましたでしょうか。“小峰の頂上”。山だったんですね。名前はないけど山に登ったんですね。わたしって。櫃石から877.9mの三角点を通り尾根づたいに篤志家は荒山まで登るようですが、楚巒山楽会はここまでです。気になったのですが、櫃石がフェンスで囲まれてました。櫃石さんは囲っていないと逃げてしまわれるのでしょうか。何のためのフェンス?

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