かのやま、あるいはかやのやまの下を通る峠なので、かのとうげ、かやのとうげ。山田郡誌に鳴神山脈をこえる峠として“桐生市村松より川内村大字山田字名久木に通ず”とあります。
恥ずかしながら、萱野峠の存在は激坂調査隊の激坂のぼるさんからのお問合せがあるまで知りませんでした。当時(2006年6月)は、山の師略して山師のhisiyamaさんに地図を作成して頂き、激坂さんに回答しました。それから一年以上経っても進歩のない筆者は山師のご案内を仰ぎ、やっとのことで萱野峠越えを果たしました。

桐生側からの峠道は、愛宕山から経ケ峰を経て石祠に至る道、宮本町から石祠に至る道(村松峠の入口を右に入ります)、鳳仙寺からの道が今も残っています。川内の機神様にお参りする人達の提灯の明かりが桐生市内から見えたそうです。峠道の前半は萱野山の項をご覧ください。きのこホテルが廃業してしまったので、きのこホテルの駐車場からの出発とはいかず、鳳仙寺の駐車場からきのこホテルを目指すことになりますが。
きのこホテルから鳴神山脈の主稜を目指す道は、好きな道の一つで何度も通っていたのですが、ここが萱野峠の峠道とは。知らないということは恐ろしいものです。自然観察の森分岐に掲げられている桐生倶楽部歩く会の道標も何度も目にして、何度も写真をとっているのに、柳原・小倉尾根と書かれている“・”(中黒といいますが)の意味を深く考えたことはありませんでした。柳原に下る道もここから始まっていたのですね。この道も好きな道で、冬は富士山が見えたりして、何度となく通っていましたが、ここも峠道の一部とは。

人の歩く(或いは賢い人の歩く)道はここまでで、木の階段が現れたところを右の薮に突入します。薮を抜け谷底をめがけて下ってゆきます。ところどころに踏み跡(のようなもの)が現れますが、あまり歩き易くはありませんので、適当に足場を選んで下りていっても。サンダルで歩けるし。
底の沢についたら、沢筋を外さないように下ってゆけば、柳原の集落から伸びている作業道に出合います。途中に群馬県と書かれた土管の灰皿があったりして、昔は普通の人も歩いていたんだなぁと感慨に耽ったりなんか。いまどき、こんな所を歩くのは山師と出来の悪い弟子くらい。
道というか、歩く場所は一本道(道ではない)なのでわかりにくい所はありません。柳原の集落のはずれ、大きな岩上に庚申塔を祀っている近くに古い道標があり、右桐生、左柳原と読めました。柳原からは丸山の下の庚申通りを辿り里道をとぼとぼと歩けば県道駒形大間々線に至ります。

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