調査中の山です。顕著なピークがあるかどうか判りません。もしかしたら山ではないかも知れません。桐生のボランティア活動のグループとして“天神山の自然を守る会”というものがあるようです。活動内容は“川内忠霊塔のある天神山の清掃活動”だそうです。
川内の忠霊塔はすぐ見つかりました。忠霊塔の脇に天満宮の石祠もあります。でも、ここって、ちょっとした台地です。けして山ではありません。楚巒山楽会では様々な“のようなもの”を紹介してきましたので、地元の方々がこの場所を天神山と呼ばれているのなら、天神山として紹介するのですが。概念図に紹介する山の名前を書いていないのはこの頁でははじめてです。

場所は渡良瀬川にかかる相川橋を渡って北上します。川内中学校を過ぎ、市営バスの川内忠霊塔前の停留所が入口です。停留所の端に駐車可能です。山際にはたくさんの庚申塔が建っています。石段を登ると忠霊塔です。左に山道がありその脇には天満宮の石祠が鎮座しています。山道を登って、天神山らしき場所に出られれば何の問題もないのですが、落葉の敷き詰められた山道を歩いても何処にも行きつけませんでした。「桐生市地名考」には天神山とか天神尾根などの地名が出てくるのですが〜この立派なご本の数少ない欠陥の一つ〜地図がないので特定できません。“天神山の続きの山で神明宮を祀っている山”“山頂に天満宮の祀ってある尾根”。ね。ね。
この概念図唯一の▲印が、膨大な索引ページに書いてある、丸山のようです。先日、三境隧道から残馬山を目指し、はからずも高竹山に登ることができました。また一つ索引を埋めることができそうです。

天神山の自然を守る会を知ったのは桐生市のボランティアグループの紹介のページで、楚巒山楽会が親しくさせて頂いている“カッコソウ保存会”の下に名前があげられていたことです。
カッコソウ保存会の会長けさまるさんがブログを立ち上げました。けさまるさんは桐生山野研究会のメンバーでもあり、そちらではREIKESAMARUとして、記事も書いていらっしゃいます。
ブログは“カッコソウを愛するやまやの日記”です。「やまの町 桐生」では、ほとんど触れることのない、鳴神山とそこに自生するカッコソウのお話です。桐生山野研究会のページに掲載したカッコソウの話の、その後のお話や、当時のお話も掲載されています。

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09.12.10
青面金剛が気になって行ってきました。
同行は日本石仏協会編の「石仏探訪必携ハンドブック」という強い味方。1000円でメモもでき、年号表つきなので、初心者のわたしにはありがたい。薄いので小さなザックでも邪魔になりません。

忠霊塔入口のバス停から階段を登ります。右側には古い庚申様の文字塔がいくつも並んで蔦を這わしています。落葉で覆われた階段をジョギングする方とすれ違う。忠霊塔前はベンチがあり、草もきれいに手入れされていて、ここはまだ地元の方たちが時々お参りに来ているのでしょう。

忠霊塔の右奥にふたつの石像と文字の庚申塔があります。
青面金剛は大きな像で、屋根の下にはまず雲と月輪・日輪、青面金剛は逆立つ髪にたぶん髑髏を乗せ、炎の光背があります。六臂右手は三叉鉾・剣・矢、左手は輪宝・ショケラと呼ばれる女の人の髪・弓。ショケラは腰から下に薄物を着け、座禅を組んで合掌し穏やかな表情です。両腕には大蛇が巻き付き、今まで見た青面金剛の中で一番細工が細かい。
足下には本来なら邪鬼がふたつなのですが、大きな犬のように見える動物を踏む、というより乗っています。その下の段に鶏の雌雄、猫脚つきの台があって、一番下の四角い石に三猿が可愛く彫られている。
向かって右の側面に文久四年二月吉日と読めるのですが、さて調べてみると文久は三年(1863)まで。十干十二支があればいいのですが、他の文字がよく読めない。左の一番下には當組中とあり、これは彫がしっかりしているけど、新しそうにも思える。
なにしろこんなフルバージョン、このあたりでは珍しいのではないでしょうか。

その右手にちんまりと六臂の如意輪観音が柔らかく微笑んでいます。
頭には宝冠をつけ右手は蓮の花と宝珠、一本は立てた右膝に突いて頬に当て、左手は左膝に置いた手と宝輪と数珠を持ち、厚い蓮台に乗っている。蓮台の下の石には明和七庚寅四月吉日、反対側には講中男女三十人と読めます。正面には二十二夜供養塔とあり、趣のある立派な観音像です。月待ち供養は女性中心の講ですから、1770年、240年ほど前の川内の女性は案外に豊かであったのかもしれません。

忠霊塔左手には天満宮の石祠があり、その脇のちょっと薮っぽい道を突破すれば感じのいい山道がしばらく続き、尾根を伝えば角山まで緩やかに登れそうですが、残念鈴を忘れているので、猪の痕跡だらけの道をそれ以上進む気力が湧かず、右からの山道が合わさる所でバス停に戻りました。
途中、きれいな箒目がついた墓地には古い観音さまがたくさんありましたが、これは皆女性の戒名があるので、彫られた年代はさっきのものよりうんと古くても、じっくり観察するのは何か失礼な気がします。やはり石仏は個人名のものより、山の中や、ちょっと小高い所にある共同のものの方が好ましい。
この道の続きは次の宿題です。

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(代表幹事代行)

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