木落山です。中尾根から東に派生した木落尾根上で、木落峠の上に聳えている?山なので、きおとしやまと呼んでも差し支えはないでしょう。黒川側から一色山への登路として藤四郎ケ入に続く二つ目のバリエーションルートです。最後が薮になるので歩けるのは落葉期に限られるかも。山はそこにありますから、信念があればいつでも歩けますが。
須田茂さんの「群馬の峠」には木落峠は神谷から一色への山越えの峠で、ハイキングコースの辺りにあって標高280mという記述がありましたが、神谷も一色も黒川沿いですからわざわざ遠回りして標高290mの一色山に近い所まで登らなくてもという感じがします。地元の方のお話では黒川沿いの尾根の末端に道があったそうです。現在は舗装された道が通っていて、ここだと特定はできませんが、概念図に記載した辺りが旧木落峠であったと思われます。

泉龍院の下の広い駐車場に駐車させていただいて、黒川ダム方面に向かいます。すぐ左に木落尾根が見えてきます。黒川から急に立ち上がっているのでなかなか立派です。尾根を回り込むと石段があります。左の上には白い石祠。真直ぐ頂上に向かっているのは水の通り道、直登するのは手強いでしょう。木落山へは右の踏み跡を辿ります。こちらも急ですが、少しがんばって登ると山腹をまくしっかりした踏み跡に変わります。北に回り込む辺りで落葉の中に踏み跡が消えてしまいます。頂上がすぐ上に見えているので薮に突入。歩きやすい所を選んで登るのですが、落葉が盛大に散りしいているので足をとられます。雑木の枝や幹を頼りの登りになります。
登り詰めた頂上は、南側が刈りはらわれていて、広闊な展望です。西に赤城山も姿を覗かせているので、上毛三山プラス浅間山、秩父の山々、目を落すと痛々しい産廃処分場の先に雨乞山、愛宕山などなど。
木落尾根を中尾根まで辿るのですが、尾根上にも踏み跡はありません。一度下ると、ほとんど平坦です。一部倒木に遮られますが、南側の展望がずっとついてきます。北側は雑木の林で前仙人ケ岳から仙人ケ岳が透けて見える程度。最後に刈りはらいされた斜面を登りきると、見なれた中尾根の登路に出会います。すぐ下には藤四郎ケ入からの尾根が見えます。

中尾根のピーク一色山からは、作られて半年後に、すでに朽ち始めた遊歩道を北に向かいます。木で作られた手摺がなければ、ここが遊歩道とは思えないほどの体たらくです。急で歩きにくい斜面を下りきったところの道標に従い一色方面に右折。こんなところに道があるのかと思うほどのさびしさですが、足の裏はここが踏み跡だといっています。あまり歩かれることがないのでしょうか、年々道が荒れてきています。下っていくと道が切れたかに思える箇所がありますが、左手に作業道の終点が見えています。良く見ると斜面にステップが刻まれています。人里近い作業道とは思えないほど裏寂れた、今にも崩れそうな道を進むと、沢の音が聞こえてきます。谷間に刻まれた危うい道も谷におりる道に出会うと少し広くなり植林帯の暗い道になります。先が明るくなる頃、左手に墓地があらわれ、そこから、にゅっと……。

んなことはありませんが、最初に下ったときは凄く心細くなったことを覚えています。という訳で、木落山への薮漕ぎと裏寂れた一色への道で、二つながらちょっとした冒険を味わえます。下山コースとしてはお勧めできません。木落山から薮を漕いで降りてきて、踏み跡に出会えるといいのですが、見落とした場合、コンクリートで固められた法面に出てしまうかも。等高線もつんでいるし。木落山から刈りはらいされた尾根を下ってみたのですが、薮に阻まれました。突破すると他所の家の裏庭に出そうなので引き返しました。一色からの下りで墓地から先は畑の中を道なりに歩くと小さな橋で黒川を渡り、雷電山の登り口に出会います。右手に見える木落山がちょっと立派です。

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