山名考

桐生山野研究会 REI KESAMARU

八王子山

 桐生市にある八王子山は、情報の錯綜から誤った位置が一人歩きしているようだ。地形図に記入されている「八王子山」のすぐ下に位置する三角点(点名「入長岡」)は天王山であり、「本当の八王子山」は茶臼山から170度、直線距離にして約400mにある。茶臼山から南、約400mのジャンクション・ピークを八王子山とする解説もあるが、これも間違い。
 1月12日、桐生菱町のhisiyama氏とともに天王山に登り、山頂標識を設置した。平成6年に「SHCカワスミ」氏の設置した「八王子山」の標識は取り外し、「本当の八王子山」に設置しますのでご了承ください。確認にあたっては「毛野時報」をはじめとする各種資料を、hisiyama氏があたってくださいました。
2000/1/20

                                                (事務連絡)
                                               平成12年1月30日

REI KESAMARU様
                                       群馬県教育委員会青少年課企画振興係

 東毛少年自然の家自然散策コースにある「八王子山」の標識について
このことについて、下記のとおり調査した結果を御報告いたします。
   
                    記
1 標識の特定
(1)薮塚本町で設置(鉄製)
(2)桐生市で設置(木製)
(3)東毛少年自然の家で設置(手製)

 お問い合わせの標識は、(3)の標識であるとしてご説明申し上げます。
2(3)の標識を設置した理由
 東毛少年自然の家では、子どもたちのために周辺地図を作成し渡しており、子どもたちが迷うわないよう目印となるよう標識を設置いたしました。
 東毛少年自然の家で作成した周辺地図は桐生市及び薮塚本町の観光地図を基に作成されております。
 東毛少年自然の家では、八王子丘陵における山頂指定をしたわけではございませんので、あなた様のご指摘の後世へ正しい名称を伝えることについて異義はありません。
3 今後の対応について
 東毛少年自然の家では、周辺地図の修正及び設置標識の撤去はできると思いますが、県民の皆様の一般的な地図の標記の変更はできないと思います。
 そのため、東毛少年自然の家で作成した地図以外の案内地図で周辺を散策される方もいらっしゃいますので、標識撤去により目印がなくなって迷われることのないよう配慮もしなければなりませんので、対処については別途検討したいと思います。

たぬき山

 草木湖東岸にある1125mの三角点峰の名称は、新ハイキング誌415号にて「たぬき山」との紹介があった。地元の聞き取りでは「天狗山」が圧倒的な意見だった。別な本では「白浜山」にしたいとの意見も目にしたが、このあたりのうやむやに決着をつけてくれそうな資料があるので紹介したい。
 問題の山名は「五街道其外分間見取延絵図」が原本の「足尾通見取絵図」第二巻にある。私の考えでは「白濱山」が三角点峰の名称であり、その西に位置する988m標高点が天狗山である。白濱山の名称は近年忘れ去られたが、特徴的な巨岩のある天狗山の名が白濱山に誤伝されたのだと思う。
「たぬき山」のプレートは、設置した人間に意見を聞いてみたいものだ。

新ハイキング415号(1990年) 草木湖東岸の寂峰 たぬき山―三境山 鷲頭隆 より一部抜粋
 2万5千図「沢入」の左上、渡良瀬渓谷草木湖の東岸に小広い円形の範囲で、破線の入らぬ空白の山域がある。(中略)そのほぼ中央東よりに、山域の中心ともいうべき1125mの三角点峰がある。これがたぬき山で、山頂の立ち木にM大ワンゲルの山名プレートが付いていた。
 これまでにこの山のガイドは見当たらないが、本誌「せせらぎ」欄に載ったことがあり(389、394号)、そこでは沢入駅前の住人から「天狗山」の名を聞いたとあるが、ここでは山頂の山名プレートに従って一応、「たぬき山」としておきたい。
耳(口)伝てに伝承された山名などは音韻の変化を受けやすく、その場合、想像だが、「たぬき山」→「たんぎ山」→「てんぐ山」の変化は起こり得ても、その逆は考えられないと思う。(後略)

新ハイキング誌と(事務連絡)の引用は楚巒山楽会代表幹事が行なった。またREI KESAMARU氏の文章も一部表記を改めて掲載した。
現行の2万5千図「桐生」では三角点(点名「入長岡」)は天王山と表記されている。

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