赤城・駒ヶ岳

桐生 みどり

 利平茶屋から鳥居峠を経由して富士見村との境界線沿いに駒ヶ岳を目指した。鳥居峠から稜線伝いに道は付いておらず、駒ヶ岳山頂近くなって大沼からの登山道に合流する。利平茶屋から鳥居峠の登りはいつも遊歩道を辿るが、今回は途中からケーブルカーの軌条跡の階段を登った。軌条跡から遊歩道を登ると迂回するので三〇分ほどかかるが、階段を登ると一五分で着いた。時間は早いが、階段登りは単調で辛い。

 峠の食堂は冬期営業休止に入っていた。駐車場から踏跡を辿ったが、籠山の山頂近くになると判らなくなった。籠山の頂上は樹林に覆われて展望もない。籠山は地図に記載されておらず、知る人ぞ知る山である。私たちの友好会「楚巒山楽会」の山名板がただ一つ樹に付けられていた。

 籠山の北鞍部から低いミヤコ笹の稜線になり、僅かな踏跡が続いている。時々目印に赤布が付いている。登山道に合流するとまもなく駒ヶ岳山頂に着く。駒ヶ岳(1685m)山頂は山頂らしからぬ場所で目的地とするには物足りない気がする。しかし、この山は黒檜山に次ぐ桐生市第二の高峰である。

 十数年前の早春、私はここで命の危険を感じたことがあった。この年は大雪で赤城山には珍しく雪庇が張り出していた。黒檜山から縦走して駒ヶ岳にさしかかった。稜線上は雑木の枝が邪魔で歩き難かったので東側に張り出した雪庇の上を歩いていた。上越や越後の山でも安定していれば雪庇上を歩くことがある。端から2mくらいのところを歩いていたが、突然ピシッ!と衝撃を感じたので瞬間的に稜線側に飛び移った。振り返ると歩いていた所が抜けていた。ここは鹿角川源頭の崩壊壁で谷底まで一気に切れ落ちている。落ちれば助かることはまずないだろう。赤城山と甘く考えてきたが、谷底を覗いてヒヤッとした。以後、易しい山でも雪庇には注意するようにしている。

 往路を戻ったが、下りの方が迷い易い。上りは高い所を目指せばいいが、下りは常に進行方向を見極めていないといつの間にか方向が違っていることがある。この時も気が付くと東に派生する稜線に入り始めていた。この稜線には踏跡が付いており、地図を見ると直接利平茶屋の遊歩道に出られそうに見えたが、安全を期して元に戻った。

利平茶屋(1時間)鳥居峠(50分)駒ヶ岳(40分)鳥居峠(40分)利平茶屋

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