足利の町を走っていると、良く岡崎山行きの路線バスに出会います。岡崎山とは何処でしょう。もし山だったら登らなければいけません。調べてみると足利市寺岡町の寺岡元三大師(寺岡山薬師寺)の北側の丘だということが分りました。
元三大師とは慈恵大師良源という比叡山の中興の祖といわれる名僧で、正月三日に亡くなったので元三大師(がんさんだいし)と呼ばれているそうです。はじめて知ったのですが、おみくじの開祖の方でもありました。元三大師をお祀りしているお寺は、厄除けで有名な佐野の厄除け大師など各地にあるようです。

岡崎山へは桐生岩舟線を佐野方面に向かい、大小山入口を越え、富田駅の先で出流川を弁天橋で渡り、元三大師の道標に従って右折します。旗川沿いのやや狭い道を進むと右手に元三大師が現れます。山門の前と旗川の河川敷に駐車スペースがあります。豆大師といわれている石仏群の先に昭和天皇野立ての地という道標があり、広い道を進んで行くと右手前方に石碑が見えてきます。空が広くなかなか気持ちの良い場所です。正面には多田木山の勇姿。
山頂の石碑は頑丈にガードされています。三等三角点 点名寺岡が窮屈そうに石柱にへばりついています。山頂から北に伸びる踏み跡を進みます。山道らしい雰囲気で旧例幣使街道に向けて下ってゆきます。下りついた道路の反対側には一本松のお地蔵様がちょっとした高みにいます。

多田木山へは岡崎山から太田佐野線(旧例幣使街道)を進み、道標に従って足利フラワーパークを目指します。フラワーパークの手前の迫間(はさま)自然観察公園から登ります。今は人家に侵食されていますが、土地の人の話では隣の73.2mの丘も多田木山です。
自然観察公園の入口には広い駐車場があります。そこから伸びる木道を行くと芝生の広場にぶつかります。木道は車椅子でも通れるように広い幅のものと、一般用のものとの二車線です。うらぶれた、寂れたと感じさせるのはこの季節だからでしょうか。芝生の広場を突っ切って山道に入ります。入口の左上に寳篋塔跡の石碑がありました。ここも以前は普通の里山だったのでしょう。ただ、ただ広いだけがとりえの道が頂上まで伸びています。案の定、展望台が。こんなものを山の中に作って何の意味があるのでしょうか。落書きのキャンバスになっていました。薮を無理やり整地して建てられた展望台のぐるりを見回すと、かすかな踏み跡がありました。分けいって行くと草の中に四等三角点 点名西根が埋もれていました。隣のフラワーパークからの歓声が聞こえてきます。多田木山には私だけです。他の項でも書いていますが、整備しないと自然観察はできないものなのでしょうか。あるがままを観察することが自然なのでは。

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