足利市で湯殿山というと、小俣の奥、彦谷の湯殿山が一般的ですが、五十部(よべ)町にもあります。桐生から足利に向かい五十部の愛宕山を過ぎ(ここまではかわら山の項をご覧ください)、道が山にぶつかるところ、三重小の先のやや変則の十字路で左折します。十字路のすぐ先、右側の民家の脇の舗装された道の奥に、石柱が四本(2対)立っています。そこが登山口です。

地元の方に登山口を尋ねたら、琴平山と湯殿山、二つのピークのある地図を書いてくださいました。毎年四月には地元のお祭りがあり、道の刈り払いもしているそうです。
石柱から山神様の石祠のある地点までは、一直線の急な登りです。山神様にご挨拶をして、やや勾配の弛んだ参道を登ってゆくと、突然トタン板に覆われた建物に出くわします。祭事の際の準備や休憩に使われるのでしょう。大きな神社だったら、社務所か直会(なおらい)殿にあたるのでしょうか。
石積みの上の建物には琴平山と書かれた額が掲げられています。建物の先の岩場には、正面に琴平神社の石祠、その周りに三つの石祠。石垣には神域をを守るようにヘビの方がのたくっていらっしゃいました。石祠のある岩場が琴平山の山頂でしょう。

このコースは、ほぼ尾根に忠実に刻まれています。何本か倒木がありますが、信仰の続く里山の神社の参道なので、はっきりとした道です。琴平山から先の尾根道では、風も通り、下の街並が見おろせる場所もあり、山登りをやや満喫できます。道なりに歩いてゆくと左にポッカリと開けた場所に出ます。鳥居と境内のある湯殿山神社です。社叢に囲まれて、なかなかの趣です。最後の写真、神社の周りだけ日が降り注いでいて、ちょっと荘厳です。160mの湯殿山山頂です。神社の裏手から尾根を辿ると大岩山に続いているようです。道は明瞭そうでした。山頂を越えて、鞍部から東側にも西側にも降りることができそうです。往復でなく周回コースになれば興味は増してきます。

神社の信仰にも流行廃りがあるようで、湯殿山への参拝がブームになった江戸の後期に勧請されたのでしょうか。今でもなかなか山形県まではお参りに行けません。勧請というシステム、いいですね。“語られぬ湯殿にぬらす袂かな 芭蕉”の雰囲気には浸れませんが、山の神社に詣でたという気分にはなれます。

湯殿山の入口を教えて頂く際に、東坂という山も教えて頂きました。まだ登れないでいる立岩山とともに、いつかは登ってみたいものです。

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