ぞうずさん。♪コンピラフネフネの象頭山です。かつて鳴神山脈の西側、東小倉村(現在の桐生市川内町一丁目)の山に“金毘羅(こんぴら)船々追い手に帆かけてシュラシュシュシュ回れば四国は讃州(さんしゅう)那珂(なか)の郡(ごおり)象頭山(ぞうずさん)金毘羅大権現(だいごんげん)”の金毘羅様を勧請した琴平宮が祀られていました。
その琴平宮は明治10年に吾妻沢にあった吾妻神社に遷され、吾妻神社は明治41年に赤城神社に合祀されました(桐生市地名考より)。
いまとなっては、琴平宮があったことは完全に忘れ去られています。琴平神社のある山は琴平山か金毘羅山と呼ばれることが多いようですが、あえて象頭山と呼ばれるようになった経緯に興味を覚えますが、それを知る由もありません。

桐生市基準点No.62のある415.9mのピークがかつて象頭山と呼ばれた山であるかどうかはおいておきます。桐生市地名考でも、吾妻山から北、釈迦堂からは南としか読みとれませんでした。ただ、前世紀から残されてきた象頭山という地名を残したいがために、桐生市基準点という恰好の目印があるピークを象頭山としました。

象頭山は村松峠から吾妻山方面に進み、三番目のピークです。駐車地は観光道路上の空きスペースが良いでしょう。村松峠入口の道標が様変わりしていました。公の物は滅びかけています。私製のかわいらしい道標に導かれて山道に入ります。直進が村松峠、右の作業道を進むと、物見山からの踏み跡をあわせ、旧きのこホテル上の山神様の石祠に至ります。萱野峠道です。菱の山から見えていたきのこホテルの白い建物は完全に取り壊されてしまいました。
村松沢に沿ってつけられた杉の植林帯の中の登山道は沢を何度か過ります。途中に山神様(多分)の石祠や愛犬の塚、枕状溶岩など見物するものに事欠きません。道も一時荒れていましたが、現在は歩きやすい道です。峠道らしい、好きな道の一つです。喧騒を離れ静かに歩ける道です。登山道が沢の源頭を過ぎ、山腹をジグザグに進むようになるとやがて村松峠。静かな峠です。直進すると川内釈迦堂(しゃかんど)、右に進むと鳴神山(遥か彼方ですが)、象頭山には左、吾妻山方面に進みます。吾妻山から村松峠を過ぎきのこピークとも呼ばれる岩木戸山あたりまでは、尾根状の道がしっかりと踏まれ、固く締まった歩きやすい道です。関東ふれあいの道の一本ですから、残念なことに擬木の階段も散見されますが、脇に立派な踏み跡がつけられています。
樹間から西側の景色が時おりのぞけ(雑木林なので)、そちらに気をとられていると、象頭山は通り過ぎてしまいます。足下にも注意して、桐生市基準点が見つけられたら、そこが象頭山です。

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