激坂さんの「菱の小さな諸峠を巡る」で気になる記述がありました。米沢の山神坂で“白葉峠へ行く山道が急坂になった所の大岩の上ノ山ノ神が祀ってある区域”とあります。島田一郎さんの『桐生市地名考』からの引用です。
毎回、毎回孫引きさせて頂くのは申し訳ないので、桐生図書館発行の『地名考』を入手しました。A4判250頁余りで、表紙にレザックを使ったなかなか立派なもので、定価1,000円はお買得です。字と小字の語源が書かれています。これは内容とは別の、本作りに携わっている者の感想ですが、ワードか一太郎で組んだものをそのままプリントして版下として使用しているので、中味とくらべると、とても上等な本とはいえません。1,000円払うのには抵抗がありました。

概念図をご覧ください。白葉橋の手前に大きな岩があり、麓と中腹に石祠があります。この辺は旧小友村です。旧小友村にも何カ所か「山神」があります。島田さんの記述にも“山上に山神社を祀ってある山”を山神としています。桐生市の現形図で、米沢の奥、城山カントリークラブの中に“山神坂”という地名があります。ゴルフ場の中なので、実際に確かめる術はないのですが、何カ所かある「山神」を取り違えられたのかも。

この岩山は山谷戸峠の項で少しだけ紹介しています。山とはいえないかも知れませんが、笠懸の岩を愛宕山として紹介した旧悪と比べたら、可愛いものです。
県道坂西桐生線を進み、群馬大学のグラウンドのところで左折して白葉峠に向かいます。大きく右にカーブし、白葉橋を渡る手前に資材置き場があります。左に見える大きな岩が山神山です。麓に石祠が二つ並んでいます。近付くと中腹の岩上にも石祠があるのが見えます。麓の石祠の左側に踏み跡があります。注意して登れば中腹の石祠の脇を通り岩頂まで達することができます。
岩頂はでんべい山から仙人ケ岳に向かう尾根から派生している小尾根の突端なので、薮を漕いで行くと、山谷戸峠の上部に出ることができます。

坂西桐生線から住吉峠の入口を過ぎ、山神山に至る途中にお地蔵様と庚申塔が並んで立っていました。脇に道があります。山谷戸峠に所縁のお地蔵様でしょうか。登っていくと山谷戸峠に行けそうです。

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