桐生山野研究会

白浜山

桐生みどり 

* 白浜山は根本山と三境山を結ぶ主稜線から西に派生する支尾根にあり、北から望むと三境山の西に顕著な双耳峰が見える。三角点のある西峰(1125b)と東峰(約1140b)からなる。主稜線の陰になるので桐生市街地方面からは全く見えない。それに加えて地図に山名の記載がなく、従来は全く無名の山であった。地誌類にも殆ど記述がなく、山名も定かではなかった。この頃、三角点の点名を取って白浜山の名がようやく定着してきたところである。近年、山歩きの雑誌や電脳空間で記録を散見するようになったが、たぬき山などと勝手な名前を付けるいい加減な事例が多い。上野国郡村誌草木村の山の項に字白浜山が記載されているほか疆域の項に「北ハ字八沢山白浜山ノ峯嶺ヲ界トシ同郡沢入山ニ隣ス」と記述されており、草木と沢入の境界であることから白浜山でいいと思う。山麓には草木ダムに沈んだ白浜集落があった。天狗山の呼称もあるが、地元東地区の人に聞いたところ、天狗山は中腹の天狗石付近の名称であり、山頂部は白浜山でいいとの意見であった。
 登山道は整備されていないが、藤川畑の旧作業道を利用するのが最も容易な登路である。沢入から黒坂石の道に向かい、すぐ右に分岐する藤川畑林道に入る。急な林道を登ると右に作業道が分かれる。車の場合はここに駐車する。この先で作業道は崩壊して車は入れない。崩壊した旧作業道を終点まで行き、終点から沢伝いに山仕事用の歩道を行く。沢には花崗岩(御影石)の巨岩がゴロゴロしている。標高九百b付近で歩道を離れて北側の斜面に取り付く。この先で歩道は稜線直下の崩壊地に突き当たって途切れてしまうので取り付き点を見逃さないよう注意したい。木の枝を掻き分けて少し登ると尾根に出る。尾根の分岐のすぐ北西、標高930b付近に天狗石がある。大きな花崗岩が太刀で切られたようにすっぱり割れている。石の大きさは6bほどですぐ下にも小さい割れ石がある。花崗岩が節理で割れたものであり、この不思議な造形を天狗の仕業と考え命名したのだろう。この付近を天狗山と呼んでいる。渡良瀬川を挟んで西岸の二子山付近から東岸の白浜山西峰直下まで中生代白亜紀に中古生層(足尾層群)に貫入した沢入花崗岩が分布しており、この先にも巨岩が散見される。ここから稜線上の明瞭な踏跡を辿り白浜山西峰に立つ。東峰までは15分ほどで着く。
 下山は登路以外にはっきりした踏跡がないので往路を戻るのが無難だが、西峰から北西に延びる尾根を下降し沢の二俣に出て藤川畑林道に戻ることもできる。踏跡はないが、尾根上は藪が薄く歩き易い。加藤畑(かどばた)林道方面からの登路も考えられるが、途中で踏跡がなくなって上部が急斜面になって登り難い。

 藤川畑作業道起点(50分)天狗石(40分)白浜山西峰(25分)天狗石(35分)作業道起点

 三境山から白浜山
 藤川畑林道からの登路のほか三境山から縦走することもできる。三境山へは屋敷山沢からの旧道もあるが、現在は荒れて殆ど踏跡すらないので三境トンネルから明瞭な道を辿るのが良い。トンネルの北側から指導標に従って北東の溝沿いに付けられた道を辿って稜線に出る。小さな突起を越えると三境山の頂だ。山頂から根本山への稜線を辿り、いくつか小さな突起を越える。標高1100bの突起から主稜線を離れ西の尾根に入る。道標がないので地図を確認して分岐を見逃さないようにしたい。白浜山東峰(約1140b)の登りは地図上から考えたのと違って急斜面になっている。東峰からいったん下って標高差50bほど登り返すと三角点のある西峰に着く。

 三境トンネル北側(1時間)三境山(1時間)分岐(1時間)白浜山東峰(15分)白浜山西峰

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五覧田城址から白浜山遠望 藤川畑の旧作業道
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天狗石 天狗石の割れ目
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天狗石脇の割石 白浜山西峰頂上
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白浜山東峰 主稜線から尾根分岐地点

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